Opening 01 Scene Player ──── レダ
太陽は落ち、月が街を照らす時間。
田舎にある小さな図書館に、閉館の時間が刻一刻と近づく。
この小さな図書館の最高責任者を務めている司書、レダは配達人を待っていた。
GM:ではレダのオープニングからです。侵蝕率の上昇をお願いします。
レダ:よいしょ。6上昇だね。
GM:今はレダが勤めている図書館内で人を待っています。
レダ:その人というのは?
GM:図書館って手続きをきちんと踏めば一定期間本を借りることが出来るのですが、図書館に保管出来る本の数には当然限りがあります。
アンジュ:この世のすべての本が揃ってる、ってのはまあないよねー。
GM:ですが利用客としても足を伸ばせる限度がある。でも自分が通える場所にある図書館には探している本がない。そんな時に利用できる制度として、別の図書館から本を取り寄せてもらうことが出来るんです。
ブレイク:マジで?
GM:全ての図書館がその制度を採用しているかは分かりませんが、少なくともレダが勤めている図書館では採用されています。それで、いつもの常連客が読みたいと言っていた本が隣町にある図書館に入ったので、その本をこちらにまで届けてもらって客に貸し出しをする予定です。
レダ:なるほど。つまり隣町からその本を持ってきてくれる配達人を待っているというわけか。
GM:説明が長くなりましたが、そういうことです。
レダ:確か時刻としても図書館が閉まるまで後少しって具合なんだよね。
GM:そうです。
レダ:だったら戸締りを始めているかな。窓のカギがきちんとかかっているか確認したり、カーテンを閉じたり。
GM:了解です。では館内にある窓一つ一つを丁寧に見て回っていると、入口が開いた音が聞こえてきます。振り返ると息を切らした二十代の男性が一人。格好としては帽子を被っていて、配達員の制服を着ています。
レダ:到着したのかな。だったら私が司書の者ですと声をかけながらカウンターに案内するよ。
GM:「遅くなって……! すみません……!」と、全身から汗を流して配達員はカバンから紙袋を一つ取り出してレダに渡します。
レダ:えらく息切れしてるけど、走ってきたのかい?
GM:「あ、はいっ……! なんか、途中でバイクが故障しちゃって」と配達員が言います。どうやら隣町からこちらへ来る途中で乗っていたバイクが突然煙を出して動かなくなってしまったそうです。そのバイクは押して道中にあった修理屋さんに預けた後、自分の足で走ってきたとか。
ブレイク:すげえな……。俺なら帰るわ。
GM:良くも悪くも律儀な性格のようです。ただちょっと、融通が利かない。
アンジュ:それはちょっとどころでは無い気もするけど。
レダ:そうだったのか。帰りはどうするか決まってる?
GM:電車に乗って帰るそうです。今の時間ならまだ電車の本数がそこそこですが、次の電車が出てしまうと一時間に一本ぐらいまで落ちますね。なので配達員はそわそわしています。
レダ:それを引き止めるのはかわいそうだ。では荷物を受け取って、ご苦労様、帰っていいよと伝えます。
GM:ではそれを聞いた配達員は一礼した後すぐ図書館から出て行きます。
レダ:あ、走っていく彼に遅れる時は相手先にも連絡を寄越すようにとだけ。
GM:「今回はすみませんでしたー!」と声を張りながら走っていきました。もう姿は見えません。
レダ:では受け取った紙袋を開けて表紙を確認する。ちなみに取り寄せた本の名前は?
GM:『過去の手放し方』という名前です。紙袋の中から出てきた本の表紙に同じタイトルが書かれています。
アンジュ:うわあ……。
ブレイク:頼んだ人が何に悩んでるか嫌でも分かるな。
レダ:まあ、そこについては何も言わないよ。利用者がどんな本を読むのも自由だからね。で、受け取ったはいいんだけど、何かしないといけないことってある?
GM:そうですね、まずはきちんと本が届いたという旨を貸してくれた図書館に連絡するべきでしょう。後は本の状態の確認ですね。本を貸し出す正式な手続きは利用者が来た時になります。
レダ:了解。流石にこの時間から頼んだ人が来ることは?
GM:ないですね。今日の夕方に一度顔を出していて、本はまだ届いてないってことの確認が取れたらすぐに帰っていきました。
レダ:じゃあ仕事机にあるパソコンを使って届きましたのメールを送ってから、本の状態を確認するために開くよ。これって届けられた時に破れがなかったかとか、ひどく汚れているページはないかの確認ってことだよね。
GM:そうです。ではレダが本の状態を確認するために開くと、視界が歪みます。
レダ:おっと?
GM:先ほどまで見慣れた図書館の景色は消えてなくなり、何かおかしいと感じた時には既にレダはどこか分からない雑木林の中に一人で立ち尽くしていました。というところでシーンが切れます。
レダ:開いた時点でアウトだったか。さて、どうなることやら……。
Opening 02 Scene Player ──── ブレイク
今日という一日が何事もなく終わりを迎えようとしている。
差し迫る業務の終了時間。
さて、帰ったら何をしようか。
GM:では次、ブレイクのオープニングです。場所はレダと同じく小さな図書館の中。
ブレイク:侵蝕率を上げたぜ。……で、これってレダと同じ職場ってことでいいんだよな。
GM:そうです。現在図書館内にいるのはレダとブレイクのみ。時間も時間なので利用者もいません。ただ二人は一緒に行動しているわけではなく、各々の作業をしているといった具合なのでレダはシーン登場不可です。
ブレイク:レダが館内の戸締りに回ってるんだよな。……あーGM、この図書館って司書たちが待機する場所ってあるか?
GM:基本は一階のカウンター先にそれぞれの席が用意されてそこで仕事をしていますが、その奥に小さな部屋があって、こちらも事務室に近い作りになっています。関係者以外立ち入り禁止の、司書たちのみが利用できる経理関係の書類などがまとめられている小部屋です。ただし、上部がガラス張りなので外からある程度見えます。
ブレイク:むしろ見えるなら好都合だ。ブレイクはその小部屋で適当な本を読みふけっている。仕事は……まあ、あまりしてない。
レダ:レダは不真面目な態度を許すタイプではないんだが。
ブレイク:それを承知の上でしている。で、最初の頃は毎度のごとく注意されていたわけだが、ブレイクは当然聞かない。別に仕事が出来ないわけでもないし、利用者がいる時は応対もする。でももうすぐ閉館で人がいなくなる時間帯になるとそっと小部屋に移動して、本を読んでる。
レダ:だったらレダが折れたことにして、自分と二人きりで仕事するこの遅い時間帯だけは許していることにしよう。悪い奴ではないと分かってるから、仕方のない奴だと思ってるかな。
ブレイク:ブレイクもレダの前だからこそ気を抜いてそういう行動を取る。他の司書がいる前では普通に業務に携わる。
GM:二人の関係が見えてきましたね。それでブレイクは本を読んでいるわけですが、何かすることは?
ブレイク:ない。ただ閉館時間が来るまで適当に流し読みしてる。これも別に本が好きで読んでるわけじゃなくて、ただ時間を潰すためのルーチンワークみたいなものだ。何百年も生きてきたことの弊害として、良くも悪くも時間の潰し方を知っているから、その行動に沿って動いてるだけだ。
GM:了解しました。ではいつもどおりに時間を潰すため、ただ意味もなく本のページをめくっていると、何か奇妙な気配を感じます。特に慌てることもなく、気になったからという普通の感覚で視線を上げるとそこに広がっているのは雑木林です。
ブレイク:ああ、これは近くにいたから巻き込まれたな。
GM:そうですね、場所としてはレダと同じ空間に飛ばされました。ですが近くにレダの姿はありませんし、今のブレイクは何が起きてこうなったかも分かりません。
ブレイク:何が起きてこうなったかは分からないが、ここ自体がどういった場所なのかは分かるか?
GM:では判定してみましょうか。<知覚>で目標値は6です。
ブレイク:ダイスがまだ二個しかないから際どい数値だが……ダイス目は11、技能はないのでこれが達成値だ。
GM:予想以上に大きな数値が出ましたね。では情報です。ブレイクにはここが異空間、つまりいつも暮らしている地上の何処でもない場所だと分かります。もっと正確に言えばレネゲイドの力によって創造されたものであり、オーヴァードかあるいはジャームが創り上げた空間だと理解出来ます。
ブレイク:今日は少し違った一日になりそうだ。そういって適当に歩き始める。もしかしたら同じ館内にいたレダも巻き込まれているかもと考え、レダを探しながら。
GM:分かりました。ではブレイクが歩みだしたところでシーンを切ります。
Opening 03 Scene Player ──── アンジュ
月が昇り、一日が終わるまで残るは数時間。
UGNエージェントになってから一年と少し。今までこなした仕事の成果は可もなく不可もなくといったアンジュが今日与えられた内容は、とあるオーヴァードとの接触して対話をし、可能ならそのまま保護に移れというもの。
これは間違いなく、今までこなしてきた仕事の中でも重要度の高いものであった。
GM:ではアンジュのオープニングです。貴女は先ほどUGNから携帯で伝えられた仕事内容を頭に入れ、急いで小さな図書館に向かって走っています。
アンジュ:緊急性の高い仕事だからかな?
GM:いえ、そういうわけではなく、目的としている図書館がもうすぐ閉館してしまうからです。
アンジュ:今日中に一度顔合わせというか、挨拶をしておきたいと考えたのかな。でもこんな遅い時間に行くぐらいなら日を改めた方が良いと思うけど、おっちょこちょいさんだなー。
ブレイク:お前のキャラなんだよなあ。
GM:今までこなしてきた仕事の中でも間違いなく重要度の高い仕事であるということはアンジュにも分かっているので、そのせいで焦っているという感じです。
アンジュ:なるほど。責任のある仕事を任されたからテンパっちゃってるわけだね。だから冷静な判断が出来ていないと。
GM:そういった具合です。で、アンジュは目的地に着いたわけですが、時間を見て見ると本当にギリギリです。でも今なら閉館なのでと言われて追い出されることはないでしょう。
アンジュ:だったら入っちゃうよー。今のアンジュの頭の中はとにかく保護対象に指定されているオーヴァードとの接触が最優先だと思ってるから。
GM:では、小さな図書館に足を踏み入れたアンジュの目に飛び込んできた光景は雑木林でした。間違いなく、アンジュが想像していたであろう光景ではない。
アンジュ:意味が分からなくて、取りあえず後ろを振り返ってここから出ようとする。
GM:アンジュが振り返ると、そこにはあるべきはずの扉が無くなっている。前も後ろも、見渡す限りが木に囲まれている。挙句、手入れなども全くされていないから無造作に伸びた木々は大量の葉をつけており、上部から入ってくるはずの光も一切差しこまず、とにかく暗い。ただ風が吹く度にざわざわと葉が擦れた音を立てるばかりだ。
アンジュ:これ、なんか出来ることある?
GM:ちょっと短いのですが、一旦ここでシーンを切ってミドルに入り、そのままアンジュでシーンを始める予定ですが、何かしたいことがあれば。
アンジュ:んー、じゃあ意味が分からなくてその場に呆然と立ち尽くしたところで切ってもらおうかな。
GM:了解です。では次からミドルに移りますね。