過去の在り方

 Middle 09 Scene Player ──── ブレイク

 どうにかウラネにかかった呪いの一つを解くことが出来た。
 もう一つ残っていることは依然として不安だが、ウラネの言葉を信じるのなら、とにかくブレイクが【双子】の元に行けば問題ないはず。
 残るは奴らの居場所を突き止めるばかりだ。

GM:シーンは戻して図書館側。時刻は夕時。タイミングとしてはレダがルーサーと病室で出会って、ミルと約束を交わした後にレダが図書館に戻ってきたぐらいです。
レダ:どうにかまた三人で動けるね。
ブレイク:残るは居場所を割りだすだけなんだが、もう一度トトに電話してルーサーのことを調べるのが一番早いか。
レダ:私が病室でルーサーと出会ったことは報告しておくよ。ブレイクを執拗に探していたと。
アンジュ:オッケー。じゃあトト君に電話するよ。
GM:「あ、アンジュ先輩! す、すみません! 今はちょっと……!」なんだが焦っています。
アンジュ:「何かあったの?」
GM:「トト! 隠れてないで出て来い! こんなに資料を散らかして!」と誰かの怒鳴り声が聞こえてきて「すみません! 切ります!」って感じで一方的に切られました。
レダ:資料探し、苦手そうにしてたものな……。
ブレイク:一人でルーサーのことを調べている内に保管されている資料をきちんと整頓できず、他の奴にバレて怒られてる感じだな。
アンジュ:情けないぞ、トト君……。でも、どうする? 結構困った状況なんだけど。
GM:……あっ、今更ですけど、今日の図書館は閉館にしてたってことでいいですかね? 業務をしたいという要望があるなら開けていてもらってもいいんですけど。
ブレイク:閉館でいいだろう。俺とレダは遅刻してきていたから、ミルとウラネがその時点で閉館の準備を済ませてくれていたことにでもしといてくれ。
GM:分かりました。では閉館の札を入口にかけてあるはずなのに、どこかの誰かが扉を開けて入ってきます。中に皆さんがいるから鍵はかけていませんよね。
レダ:ごもっともで。……確認しよう。
アンジュ:ウラネは今も司書用の部屋のソファか何かで寝てる?
GM:はい。ウラネはまだ意識を失ったままです。レダが音を聞いて誰だと入口の方を見ると、先ほど見た顔がいますよ。
ブレイク:だろうな。
GM:「おや、また君か」
レダ:「ここは私の職場なのでね。今日は閉館なんだけど、見えなかった?」
GM:「ああ、見えませんでしたね。鍵も開いていましたので。……ブレイクはいますよね」
ブレイク:「いるよ。何か用? 俺は君に用は無いって言われたことを記憶してるけど」
GM:「ええ、貴方に用はありません。あるのはその内に秘めたる“王”だ」

 こいつは何を言っているのだろうかとレダも、アンジュも首を傾げた。
 それだけではない。指を指されたブレイク自身もルーサーの言葉の意味が分からず、首を傾げる他なかった。こいつは一体何を言っている? “王”とは何だ? それがブレイクの中にいるとでもいうのだろうか?

ブレイク:「俺は王になった覚えがないけど」
GM:「確かに、貴方自身が王になった自覚はないでしょう。言ってしまえば、勝手に王と呼んでいるのはこちらですから」
アンジュ:んー? ブレイクを王に仕立て上げたいのかな?
レダ:よく、分からないね。
ブレイク:とにかくここで下手を打たれるのも面倒だ。適当な場所に向けて歩き出す。まずは図書館から出よう。
GM:自由にどこかへ行こうとするブレイクをルーサーは当然追いかけてきますよ。
レダ:私が後を追おうとすると?
GM:興味なさそうです。別に邪魔してくる気配もありませんけど、レダのことを気にしてる様子も感じない。
レダ:眼中になしか。
アンジュ:あっ、じゃあ私はウラネの近くにメモを残してから追いかける。えっと、必ず戻ってくるからここで待っていて、かな。
ブレイク:ああ、助かる。
GM:どこまで歩いていくとかあります?
ブレイク:じゃあウラネとミルが飛ばされた路地裏を目指したいのだが、思えばあそこへのちゃんとした行き方は知らなかったな。
アンジュ:ゲートを開いて無理やり行ったんだった。
ブレイク:なら≪ディメンジョンゲート≫を開いて、ルーサーについて来るよう目配せしよう。来る気配はあるか?
GM:ついてきますよ。どこにでも。
ブレイク:俺さえ先に通ればゲートだろうと関係なく来るんだな。じゃあ全員が通ったのを確認したら閉める。
GM:「場所を変えたかったのですか?」
ブレイク:「まあ、そんなところ」
GM:「でしたらもっと良い場所がありますよ」

 ルーサーが良い場所があるといった瞬間、辺りの空間が歪んでいく。
 先ほどブレイクが開けたような一部分の空間を歪めて瞬間的に別の場所へ移動できる地点を作るような小さなものではない。
 もっと大きな歪み。世界そのものが作り変えられていると錯覚するほどの歪みだ。

GM:ルーサーはEロイス≪虚実崩壊≫を使用。これにより、あなたたちのいた場所はまるで宇宙の外へと飛び出したかのような不思議な空間に変わる。ここを一言で言い表すのは難しいが、あえて言葉にするのであれば宇宙空間に出来たたった一枚の薄いガラスの上。
ブレイク:ルーサーが作りだした空間だったのか。
アンジュ:結局ルーサーに出会わないとどうあがいてもここには来られなかったんだね。
レダ:だけどこれでウラネが背負っているもう一つの誓約も果たされた。
GM:ここには【双子】もいますよ。そしてレダの言うとおり、ブレイクがこの空間に来たことでフローのEロイス≪絶対の枷≫の効果が終了。「あの女の人、ちゃんと約束を守ってくれたみたいだね」とフローは笑っています。一方でフラウは機嫌が悪そうですよ。
ブレイク:無理やり消したことを感じ取っていたか。まあ、どうでもいいな。
GM:「……アナタがここに来たことに免じて許してあげる」
ブレイク:「許すも何も、別に俺は君に対して負い目はないよ。して当然のことをしたまでだ。嫌だったのならもっと強力な呪いをかけられるように精進するといい」
GM:ふむ、ブレイクの煽りをフラウは真に受けたようですね。さらに表情は険しくなっていきます。
ブレイク:俺は怒っているよ。こいつらに。
レダ:私もだ。必ず裁きの雷を落とし、報いを受けさせる。絶対に許しはしない。
アンジュ:うん。ウラネにあんな怖い思いをさせて、ミルにもひどい怪我を負わせた。……ここで倒すよ、絶対。
GM:ではここでシーンを切ります。次でクライマックスです。