過去の在り方

 Middle 01 Scene Player ──── アンジュ

 ブレイクの監視任務を終了だと言い渡された。だが、監視任務が終わったからといってUGNでの仕事が全て終了するわけではない。これからはまた、別の仕事に駆り出される。
 ……彼らとこうして顔を合わせるのも、きっと今日で最後だ。

GM:まずはアンジュがシーンプレイヤーですよ。ここからは希望や話の流れに沿うのであれば皆さん登場してもらって大丈夫です。
アンジュ:時間としては出勤するぐらい?
GM:そうなりますね。出勤直後の二時間ぐらいはミルとウラネもいますよ。
アンジュ:ブレイクとレダも、もう出勤してるのかな? そうだったらめっちゃ行きたくない……(笑)
レダ:私は遅刻するつもりだよ。さっきのことがあるから。
GM:いいですよ。ミルとウラネはかなり心配すると思いますが、大丈夫です?
レダ:その方がいいと思って。
ブレイク:俺は出勤する理由がもうないんだよな……。
アンジュ:えっ!?
ブレイク:俺が司書になった理由はレダと一緒に居たらレダの成長を見れるという期待からであって、仕事がしたいとかじゃない。レダの成長については信じて疑っていないから今後も傍には居続けると思うが、形は変えても何ら問題ない。例えば、利用客になるとか。
レダ:成長を見たいとは思っているけど、それ以上に興味の引くものがあればそちらに流れるのも自然だよね。
ブレイク:そのとおり。そして今は正直、レダの成長より唯一の本の出来方の方が興味関心が強い。
GM:分かりました。それでは一先ず、アンジュが出勤した描写をしましょう。
アンジュ:お願いします。
GM:昨日のことを思い出すたびにアンジュの足は重くなる。それでも自分を鼓舞して出勤してみると、ミルとウラネの姿しか見当たらなかった。
アンジュ:「お、お疲れさまです」
GM:「あ、お疲れ、アンジュちゃん」とウラネ。ミルもお疲れって返してきますよ。
アンジュ:「レダさんと、ブレイクさんは?」内心いなくて良かったーって思いながら聞きます。
GM:「それが、まだ。ブレイクはたまに遅い時があるから別にだけど、レダさんがこんなに遅いの、初めてかも」とウラネが言うよ。そしてミルが「まだ出勤時間まで少しあるから遅刻が決まったわけじゃないけど、遅くなるなら電話の一本でもあっていいと思う」と不信がっていますね。
アンジュ:原因は絶対昨日のことだよね、と思いつつ……。「そうなんですか……。私、どうしましょう?」
GM:「私たちも後二時間いっぱいで上がっちゃうから……それまでに二人とも来なかったら、閉めちゃうしかないかな。アンジュちゃん、一人で午後の対応するの、まだ無理でしょ?」
アンジュ:私って司書になってまだ二日目だよね?
GM:そうですよ。
アンジュ:絶対無理だわ。「流石にまだ、何も分かってなくて」
GM:「二日目で完璧だったら俺たちの立つ顔ないし、普通だよ。まだ時間はあるし、取りあえず様子を見よう。レダさんが来るまでは俺が教えるけど、それでいい?」
アンジュ:優しくしてもらってるけど、私今日で終わりなんだよね。……そういえば、来ていきなり辞めるわけだけど、そこの処理はどうするつもりなんだろ?
GM:後日別のUGNエージェントが来て記憶操作をしますよ。レダとブレイクはオーヴァードなので記憶を消すことは出来ませんが、そこの二人に掛ける意味はありませんのでミルとウラネだけにですけど。
アンジュ:そういう手段を取るのね。それは分かっててもいいのかな?
GM:後日の処理はこちらでするって聞いていますし、どういう手段でって部分はなんとなく分かっていていいでしょう。UGNがレネゲイド関連の情報規制を徹底していることは知っているべきですから。
アンジュ:万が一を考えてってことか。それを抜いても私の行動は不自然だし、そこから痛くない腹を探られるのを避けたいんだね。じゃあ心を痛めつつ「よろしくお願いします」と返事する。ぶっちゃけると今はレダに教えてもらうより安心出来る。
レダ:随分と怖がられている(笑)
GM:さて、ここら辺で誰か出勤してきても良いですが、お二人はどうしますか?
レダ:私は遅刻が確定してからにしよう。なんなら次のシーンでいい。
ブレイク:俺はどうしようか。
アンジュ:えー、来ないで欲しい(笑)
ブレイク:嫌われてる(笑)
アンジュ:心境的にはこれかなって。来ないのは心配だけど、きても顔を合わせづらいなって。
ブレイク:じゃあ俺も遅刻しよう。調べものしてて時間見たら遅刻で、今から行くかって気にしていない感じ。
GM:分かりました。それでは二人が来ない間、アンジュはミルに仕事を教えてもらっています。レダとはまた違った教え方で、かなり効率的な方法です。ただ、効率を求めるために必要な基礎が抜けている今のアンジュにはかなり難しい。
アンジュ:わーん! こっちはこっちで厳しかったー!
GM:今日で終わりだというのに目を回しながら必死に仕事を覚えていると、受付をしていたウラネがアンジュを呼びに来ました。「アンジュ、お客さんが貴女を呼んでるわ」
アンジュ:「え? 私をですか? 分かりました」誰だろ……。
GM:言われたままにカウンターに行くと、そこには少年がいます。歳はアンジュよりちょっと下かな、ってぐらい。ちなみに、アンジュは見覚えがあります。彼はトト君と言って、同じUGN支部局に勤めているオーヴァードです。
アンジュ:おおっと? まさかの後輩?
GM:当たりです。彼はまだオーヴァードになって一ヶ月も経たないぐらいの新人で、今は雑用がメインですね。またトト君はアンジュのことを慕っています。理由は簡単で、彼もアンジュ同様オーヴァードとして覚醒してしまった当初は凄く苦しんでいました。でも、同じく苦しんでいたアンジュの変わる姿を見て、感化を受けたんです。以来、トト君はアンジュに懐いています。
アンジュ:トト君が私に自己投影して、偶然にも前に進めるきっかけになったのね。話したことはあるのかな?
GM:局内ですれ違ったりした時に、向こうから何度か声をかけてきたことがあります。「俺、アンジュ先輩のお陰で前に進めました!」とか、最初は一方的でよく分からん子だとアンジュは思っていましたが、その明るさにアンジュも感化されて、トト君とはお喋りするぐらいの仲です。
アンジュ:おおー、それは嬉しいなあ。私、力を使いこなせるようになったのは本当に最近だけど、オーヴァード暦だけは二年もあるんだよね。だから、私にも後輩が出来る時期なんだなあって。……感慨深いな。
GM:ではトト君が話しかけてきます。「先輩! こんにちは!」と、元気な声で。
アンジュ:「こんにちは、トト君。……ごめんね、ここ図書館だから、もうちょっと声、下げられる?」
GM:「あ、すみません。実は先輩がここで働き始めたって聞いて。俺、ここの近くに住んでるんで、先輩の様子を見たいなって」少し照れています。
レダ:これは良い子なのでは?
ブレイク:子犬が懐いたな。
アンジュ:何か用事があって来たわけじゃないんだ。てっきりUGNからの緊急連絡でもあって遣わされたのかと思った。
GM:「仕事の方、どうですか? やっぱり司書って、大変なんですかね?」と興味津々です。
アンジュ:「……その、実はね」と小さい声でトト君には事情を説明しよう。今日で司書は終わるって話と……ブレイクの監視役って話は極秘?
GM:いえ、UGNの人間であれはほとんどが知っていますよ。ブレイクはUGN内でも上位に入る重要人物なので。主に行動の予測がつかないところが。
ブレイク:今日も朝から好きに動いたからな。UGNは今頃誰かが≪ワーディング≫を使用したって犯人探しをしてるだろう。
レダ:自覚はあるのか。
アンジュ:じゃあ別に隠す必要ないね。話そう。
GM:ではアンジュがトトに耳打ちをしていると、別の利用客がカウンターに来ますね。そちらの対応はウラネがしますよ。「何かお探しですか?」
アンジュ:んー? 横目でチラッと見る。
GM:男が子どもを二人連れています。その子どもの顔は瓜二つ。
ブレイク:子連れで……増えている? いや、前回来たのは女と、子どもも女だったな。
レダ:言い方よ。
GM:男性がウラネに言います。「ここに、ブレイクって名前の人がいるって聞いたんだけど」
ブレイク:俺を探している? なら登場しようか。
GM:残念ですが、それは出来ません。男はEロイス≪悪意の伝染≫を使用。現在シーンに登場していない人物は以後、このシーンへの登場を認めません。
ブレイク:早くねえか!?
レダ:ここでまたEロイスとは……完全にやられたっ。
ブレイク:くそ。だからあんなにも登場するかの確認を取ってきたのか……!
アンジュ:私、かなりまずい?
GM:一歩、遅かったですね。では描写を続けます。男が言葉を発した瞬間、悪寒のようなものが駆け巡るでしょう。それはアンジュだけではなくトトも、ウラネも、そして後ろで作業をしていたミルも感じるほどのものです。対応しているウラネの額には脂汗が浮かび、恐怖を堪えながら声を絞り出します。「……いえ、本日はまだ出勤して、おりません」
アンジュ:トト君への耳打ちをやめて、しっかりとそいつらの顔を確認する!
GM:ふむ。では判定してもらいましょう。<情報:UGN>で難易度は8です。
アンジュ:ダイス一個しかないよー! 固定値あっても達成値は4で失敗。
GM:顔を上げて男を見るが、別段変なところはない。サラサラの薄い青髪で、毛先につれて紫色になっていて、右目が隠れている。ちなみにこれはEロイス≪妄念の姿≫で作っている形です。
アンジュ:今回最初からEロイス多くない? それと、十分奇抜な髪形だと思うけど……。
GM:子どもは瓜二つなわけですが、若干差異があるように見える。よく見て見ると、男の子と女の子のようです。……情報は以上。
アンジュ:ぐぬぬ! でも、それじゃどうしようもない……。男たちって、何かしてくる感じなの?
GM:いいえ。ブレイクがいないと聞くと、そうですかと言って残念そうにします。……男はね。
アンジュ:ふぁーーーー。
GM:子どもたちは納得してなさそうですよ。「それ、嘘じゃないよね?」と男の子の方が。女の子も「本当はいるんでしょ? どうしてかばうの?」って言ってます。片腕ずつ、異形のモノに変化させながら。
アンジュ:うおおおおおい!!! こいつらもオーヴァードかい! いやもうそれしかないけどさ! ……えっ、待って。こいつら≪ワーディング≫張らないの?
GM:なにもしてませんよ。いきなり男の子の方は右腕を巨大な口と思わせる形に、女の子の方も同じく左腕を変化させています。ウラネはびっくりして後ずさりしていますね。そしてミルは慌ててウラネに駆け寄り、アンジュにも叫びます。「早くそいつから離れろ!」危険だと本能が察知しているようです。
アンジュ:あああああ、戦えるの私しかいないよー! ……そうだGM! トト君はオーヴァードだったよね! 一緒に戦ってくれたりする!?
GM:……戦闘に入りたい、ということでしょうか?
ブレイク:やめておけ。全滅するぞ。
アンジュ:≪悪意の伝染≫のせいで≪ワーディング≫しても仲間が来れない。……でも、張る、しかないよね。だって、ウラネとミルは一般人だもん。他にも利用客がいるなら、なおさらこの場を見られるわけには……。GM、私が≪ワーディング≫を展開、します。
GM:了解。双子の腕が異形化したのを見てオーヴァードだと理解したアンジュはとっさに≪ワーディング≫を展開。これにより、ウラネとミルは意識を手放します。そして、子どもたちはアンジュの方に振り向き、言います。「なんだ。キミ、オーヴァードだったんだ」「アナタ、戦えるのね? うふっ、楽しみだわ」
アンジュ:「今ここにブレイクさんはいません。……でも、これでもしかしたら、来てくれる、かも……」ブレイクごめんねー!? でももう君のことをダシにするしかなくてー!
ブレイク;好きに使え。
GM:そういう切り口でしたら、男は納得しますね。「確かに、彼もオーヴァードだ。普段から≪ワーディング≫なんて使わないのですっかり失念していたよ。基礎に振り返るのも必要だね」と言って子どもたちを静止します。
アンジュ:おっ、もしかして助かるー?
GM:止められた子どもたちは不機嫌ですね。そして言います。「僕、待つのはやだよ。面倒だもん」「私もいや。……あ、じゃあ待つのはルーサー一人でやっててよ! 私たち、あの玩具で遊んでくるから!」と、指さしているのはウラネとミルのことです。
レダ:めっちゃ不穏なこと言ってるんだけど。
アンジュ:こっちが不利だからって好き放題してくれちゃって……!
GM:ここで、ルーサーという名前を聞いたトト君は声を荒げます。「ルーサーって、まさかFHのルーサー? コードネームは確か、【敗者】……」
アンジュ:お前マジで敗者かー!
ブレイク:我が名は【敗者】! 全知そのものだ!
レダ:未知の事象だと!?
GM:その敗者さんですよ。そしてルーサーは怒りだす。「俺をその名で呼ぶなッ!」すると大きな時計のような魔眼が一つ現れ、トト君を後ろの壁に叩きつけます。
アンジュ:トト君大丈夫かーっ! でも今のは君も悪いーっ!
GM:ここで子どもたちはそれぞれウラネとミルにEロイス≪囚人の鳥籠≫を使用。二人を連れ去ってそのまま自分たちもシーンから退場します。これ以降、ウラネとミルは私が指定したシーン以外には登場しなくなり、またあなたたちが望んでも会うことは叶いません。
アンジュ:あああああっ……。
GM:そしてルーサーは言います。「貴女の提案どおり、ブレイクが来るまでここで待たせてもらいますよ」と。長くなりましたが、ここで切りますね。
アンジュ:誰か助けてーっ!

 Middle 02 Scene Player ──── ブレイク

 今日はよく≪ワーディング≫を感知する日だと、この時は呑気に考えていた。
 だがそれも致し方のないことだ。最初の二回は自分がしたことだから。

GM:次はブレイク。出勤して頂いていいですよ。もしレダも同時に来るならどうぞ。
ブレイク;≪ワーディング≫はまだ張られているってことでいいのか?
GM:本来はシーンを跨いだ時点で切れるのですが、今回は特別に継続ということで。まあ、アンジュが解除しても代わりにルーサーが張り直しますよ。
アンジュ:じゃあ私が使ってるってことでいいよー。
レダ:本来なら二人で駆けつけるべき場面なんだが……。
ブレイク:俺は別に構わんが、レダはそんな心境じゃないだろう。≪ワーディング≫が張られたって、ぶっちゃけ俺たちに関係ないしな。アンジュと違ってUGNじゃないし。
アンジュ:そうじゃん。そもそも面倒ごとに首を突っ込む必要ないじゃん、二人は。
GM:今回はあなたたちの職場での出来事なので他人事ではいられませんけどね。
ブレイク:ま、いいよ。まずは俺だけ登場する。折を見てレダは出てくれ。最悪一人でも何とかする。
レダ:すまない、今のキャラの心境を優先するよ。
GM:ではブレイクが職場に近付くと、どうやら≪ワーディング≫が図書館内から発生していることを知る。
ブレイク:そのまま気にすることなく入る。
GM:ここでアンジュも登場をお願いします。中に入ると壁際に少年が倒れ込んでいて、その少年に付き添うようにアンジュがいます。そしてもう一人、あなたの知らない男がカウンターに腰かけている。……他の人は見当たりませんね。
アンジ:トト君ってどうなっちゃってるの?
GM:先ほどの一撃で意識を手放しているだけで、命に別状はないですよ。ただまだオーヴァードの力になれていないので、昏倒しちゃった感じ。
アンジュ:分かった。じゃあブレイクが入ってきたのを確認して「ブレイクさん!」って叫ぶように声を出した後、でも私この人を売るようなこと言っちゃったんだよねと思って気まずそうにしてる。
GM:「おお、本当に来るとは。どうやら貴女は嘘をついていなかったようだ」とルーサーも嬉しそうです。
ブレイク:アンジュを見て、怪我とかしてないことを確認したら視線を男の方に移す。「……君、誰?」
GM:「お初にお目にかかる、僕はルーサー。FHの一員だと言えば、大体のことは察せられるのでは?」
ブレイク:これはもしかしなくても、俺を誘拐してその力を手に入れようとか、あるいは研究しようって感じ?
GM:さて、分かりません。
ブレイク:知りたいなら聞けってことか。……いや、今の俺はFHなんてどうでもいいな。ならこうだ。「そう。俺からは聞きたいことがあるんだけど、答えてくれる?」
GM:「ふむ? 話に聞いた通り、己のペースで動くお方のようだ。良いですよ、僕の知っていることならお答えしましょう」
ブレイク:「唯一の本って知ってる?」
GM:「……? ええ、まあ。名前ぐらいは」
ブレイク:「どこまで知ってる? 俺、今は唯一の本のことを調べてるんだよね」
GM:「またけったいな物に興味を持つのですね。あんなもの、事例もほとんどなければ眉唾物程度の噂があるだけではないですか」
ブレイク:「知ってることは教えてくれるんだよね。どこまで知ってる?」
GM:「本の中に連れ込まれる、とかいう話ぐらいですよ。それも結局は何もされずに出て来れるとか」
ブレイク:チッ、こいつもハズレか。ならもう用は無いな。
レダ:どっちが悪役なんだ、これ(笑)
アンジュ:私のことはもっと心配して(笑)
ブレイク:「ならもういいよ。俺は君に興味がなくなった」
GM:「随分な態度を取る。自分の立場をお分かりか?」
ブレイク:「俺と殺り合いたいなら別に構わないよ。相手になるけど……」

「せめて良い暇つぶしになってくれよ?」
 ざわりとブレイクの影が蠢く。それはまるで久しぶりに人の形をしたオーヴァードを破壊出来ることを悦んでいるかのようだ。

レダ:戦闘の可能性も出てきたな。GM、ここで登場したい。
GM:構いませんよ。ではルーサーとブレイクが一触即発の空気になったところで、レダも慌てて出勤してきます。相当疲れていますが流石に職場で≪ワーディング≫が張られているとなれば、駆けつけるでしょう。
レダ:「これは何の騒ぎだ!」
アンジュ:「レダ、さん……!」
GM:「うじゃうじゃと虫けら共が……。しかし、ブレイク。今の貴方は最高だ。それこそ、僕が求めていた姿。是非とも場所を変えて話がしたい」
ブレイク:目的は知らないが、受けるか。「いいよ。場所を改めよう」
レダ:「待て。こちらの話が先だ。どういった用件でここを荒しに来た」
GM:「何度も言わせないでくれ。僕はブレイク以外に用は無い」
アンジュ:「ふざけないでっ! だったらウラネさんとミルさんを返してください!」
GM:「知るか。あれは【双子】共が勝手にやっただけだ。探したいなら勝手に探しに行け。もっとも、今頃人間の形を留めてるかは知らんがな」
ブレイク:「どういうこと? ……アンジュ、説明して」
アンジュ:「その人は他にも子供を二人連れてきたんです。それで、ブレイクさんを出せって。ウラネさんがまだ出勤してないって言ってもその子どもたちは聞かなくて、オーヴァードを力を使って脅して来たんです。だから私、≪ワーディング≫を……。でも、その子どもたちはブレイクさんを待つのは嫌だって言って、二人を連れ去ったんです」
ブレイク:「そう。じゃあ、えっと、ルーサーだっけ。話はこれで終わり。俺、ウラネとミルを探しに行かなきゃいけないから」

 先ほどまでルーサーと刃を交える気だったブレイクが矛を収める。そして彼は自身の口から司書二人を探しに行くと言った。
 その姿は先ほどとまでは違い、いつもの不器用な中に優しさを持っているブレイクであった。

GM:「それが貴方の答えか? だったら拍子抜けだな。もっと血に飢えた破壊の塊だと思ってたのだが」
ブレイク:「そんなものになった覚えはないけど。取りあえず、俺への興味が失せたなら帰ってくれるかな」
GM:「ああ、今の貴方はこちらから願い下げだ。……また来よう」
レダ:「待てと言っている。その【双子】とやらの居場所を吐け」
GM:残念ですが≪瞬間退場≫でシーンから離脱です。
レダ:「クソッ、逃げたか……」
アンジュ:じゃあ私も≪ワーディング≫を解除するよ。
GM:セピアになっていた世界に色が戻り、いつもの日常が帰ってくる。図書館は静まり返り、いるのはあなたたち四人だけで、一人は気を失っていますが。
レダ:とにかく状況を整理しないと。
アンジュ:私が見た一連のことを二人に伝えるよ。「ごめん、なさい。私が下手に≪ワーディング≫を張ったばかりに二人が連れ去られてしまって……」
レダ:「いや、アンジュのせいではないよ。全てはいつもどおりに出勤しなかった私の責任だ。……全て」

 レダは今回のことに関しても、己を責めた。
 自分はいつもそうだ。大切な場面で、何も守れない。妻と娘だけではなく、今度は大切な部下を……。

ブレイク:GM、レダが異様なまでに自分を責める姿を、俺は異常だと感じられるか?
GM:……付き合いが長いですし、特別に許可しましょう。ただし難度は15と高いですよ。判定技能は<RC>です。これに成功したらレダにかけられたEロイスの存在に気付けることにしましょう。
ブレイク:それ、は……きっついな。成功したいところだが……。これは情報収集という判定で扱われるのか?
GM:そうしましょうか。適切なエフェクトを許可します。
ブレイク:そうは言っても俺に使えるのは≪オリジン:ヒューマン≫だけだ。レジェンドでなかったことが悔やまれるが、やるしかない。……振るわず、9で失敗。すまん。
レダ:気にしないで。
GM:ブレイクはレダが異様なまでに自分を責めている理由は分かりませんでした。昨日の様子も見ていますし、過去の事件と重ねているのだろうと思うだけです。
ブレイク:そのままだな。
GM:一度ここでシーンを切りますね。