Middle 07 Scene Player ──── ブレイク
どうにかウラネとミルを助けることは出来た。しかし、ミルは大怪我を負って緊急手術の後にそのまま入院。ウラネも謎の文様を手の甲に刻みこまれたままの状態と、芳しくない。
この状況を打開するためにも図書館に姿を見せた三人をどうにかしなくては。
GM:場面は少し動きます。意識の無いウラネを連れてゲートを潜った後、やってきた救急車にミルを乗せてそのまま搬送することになるのですけど、この時にウラネも一緒に搬送してもらいますか? 精神的疲弊が著しいですし、意識も失っているので言えば連れて行ってくれますよ。
ブレイク:病院に搬送されるとどうなる?
GM:ミルは緊急手術室に連れて行かれ、そのまま入院ですね。意識を取り戻すのもまだ時間がかかるでしょう。ウラネの場合も……今日は入院になるでしょうね。≪ワーディング≫の効果で意識を失ったものなので病院で寝かせて少しすれば目を覚ますでしょうが、その後どうなるかはウラネの精神状態次第でしょう。
ブレイク:ウラネには悪いが、今の内に文様を調べたい。救急班にはミルのことだけを伝えてそのまま病院に行ってもらおう。いいか?
アンジュ:今ウラネを連れて行かれちゃうのはまずいから、いいと思う。もしもそのまま入院が長引くようなことになったら、最悪≪絶対の枷≫の効果で死亡しちゃう。
レダ:誓約の内容は分かっているけど、どこからが破ったことになるのかが分からない以上、長期間拘束されるのは避けたい。それに、最終的に解けなかった時のことを考えるならブレイクはウラネと動かなきゃならないから、一緒に居た方が良い。
GM:そういうことでしたら、ミルだけ搬送します。えっと、誰か一人付き添いで一緒に救急車に乗ってもらえると嬉しいです。乗った人はこのシーン登場できなくなるのですが。
レダ:私が行くよ。ウラネのこと、頼むね。
ブレイク:妥当だな。……本音はアンジュに行ってもらいたいところだが。
アンジュ:私に≪妖精の手≫がないからってひどいことをおっしゃる(笑)
ブレイク;すまん。あれは便利でな……。
アンジュ;私のキャラは情報収集にもあんまり向いてないから、実際居ても仕方ないんだけどね。
レダ:でも、アンジュがミルの付き添いをするのも変だろう? そっちは頼むよ。
ブレイク:ああ、出来る限りのことはしよう。
GM:改めてこのシーンの始まりを描写しますね。図書館に戻ってきたあなたたちはミルを搬送。これにはレダが同伴することとなり、そのまま一緒に救急車に乗りこんだ。そしてウラネのことを司書用の部屋に隠していたブレイクとアンジュは救急車が去ったことを確認した後にウラネの様子を再び観察し始める。
ブレイク:「ウラネには悪いこが、この文様が気になる。……今の内に調べさせてもらうよ」
アンジュ:「ウラネさん、ごめんなさい。絶対にこの文様を消してみせますから、今はどうか辛抱願います……」
GM:どのように調べるかは考えていますか?
ブレイク:この文様の詳細を調べるには、同じ事例を探すのが一番早いのだが。
GM:それでしたら<情報:UGN>で難易度30です。……ここで、調べるのなら。
アンジュ:UGNの支部局に行けば設備もあるしFHの情報もあるってことか……。
GM:このシーンで行える判定は購入判定を含めて3回です。成否関係なく。
ブレイク:取りあえず試してみると言える難易度ではない。それに難易度の下げ方も示唆されているのなら、ここでは判定しない。やはりアンジュにUGNへ行ってもらうべきなのか?
アンジュ:私が行って失敗したら、上司にばれてそのまま芋づる形式でブレイクたちの今の行動もばれちゃうよね。私とブレイクには他の人たちには絶対にない繋がりがあるわけだから。
ブレイク:……トトに電話は出来るか?
GM:アンジュなら知っていてもおかしくないでしょう。トト君から「これ、俺の連絡先です!」って一方的に渡されて、登録してそのまま。
アンジュ:じゃあ電話をかける。
GM:「……はい、もしもし」
アンジュ:「あっ、トト君? アンジュだけど、今電話大丈夫かな?」
GM:「アンジュ先輩!? あ、はい! 大丈夫です! えっと、まだ頼まれたこと、調べ切れてないんですけど……」
アンジュ:「そっか。うん、それじゃあそっちのことも引き続き調べてほしいんだけど、今は別のことをお願いしてもいいかな?」
GM:「いいですけど、何をすれば?」
アンジュ:「今は支部局内にある資料保管室にいるのかな?」
GM:「そうです。今は……【双子】って呼ばれてるFHの一員について調べてます」ここで情報の探し方などのレクチャーがきちんと出来れば、トト君は素早くデータを見つけることが出来ます。判定は<知識:文書>で難易度8を出してもらうか、<情報:学問>で難易度9のどちらか。
ブレイク:資料のみかたを教えるというニュアンスか。……レダの得意分野だな。
レダ:しかし私はそこにいない(笑)
ブレイク:ウラネから聞いた話がある手前、俺がミルの付き添いをするという選択肢は最初からなかったが、実はこのシーンでいらない子は俺だったか(笑)
アンジュ:ダイスの数でカバーするしかない(笑) 判定は3回しか出来ないから、ここで一発成功してウラネの文様に当てられる判定回数を増やしたいところ。
ブレイク:ダイスの数は俺の方が多いから、俺が振ろう。≪オジリン:ヒューマン≫も乗せて判定は<知識:文書>、達成値は10で成功。
アンジュ:ヒューマン便利すぎて羨ましい。
ブレイク:俺が司書という仕事で培った資料の効率的な閲覧方法をアンジュに伝え、アンジュがトトに教える感じだな。
GM:「……ありました! すごいです、アンジュ先輩! 俺、ずっと探してても見つけられなかったのに、こんなに早く!」
レダ:そして上がるのはアンジュの株(笑)
ブレイク:構わん、トトからの好感度ぐらいくれてやる(笑)
アンジュ:トト君いい子だよー?(笑) 「どんなことが載ってるか、教えて?」
GM;「えっと、FH構成員で、双子と思われる十歳程度の男の子と女の子がいつも一緒に行動している姿が確認されている。【双子】というのは両方を指し示すコードネームらしいです。本名は男の子の方がフロー。右手を異形のものに変える癖がある。女の子の方がフラウ。こちらは左手を異形のものに変える癖があるとのこと。どちらも他者をいたぶることを好み、好戦的。また呪いの類を使うこともある、とか」
ブレイク:それだ。呪いについて詳しく聞いてくれ。
アンジュ:「呪いについてはなんて?」
GM:「呪いの詳しいことは……現在も調査中。ただ、呪いをかけられた人の手の甲になんかこう、不気味な文様が浮かぶとか。それも、フローとフラウが使う呪いでそれぞれちょっと形が違うらしいです。……まさかアンジュ先輩、その呪いをかけられたとかないですか!?」
アンジュ:「ううん、かかってないよ。大丈夫」
GM:「ああ、良かった……」電話越しからでもアンジュの身を案じてくれているのか分かる声です。
ブレイク:これで【双子】が掛けた呪いの類だと確定は出来たわけだが、問題はこれを外部から干渉することで解くことが出来るかだ。
レダ:誓約を果たし続ける限り命が脅かされることはないことと、明言はされていないが誓約を果たすかその術者を倒せば恐らくは解けるだろう。これは分かりやすい解除方法ではある。ただ、そのやり方はかなり危険だ。
アンジュ:「その呪いが解けた事例とかも情報はないのかな?」
GM:「呪いが解けた、ですか……。うーん、どういうわけか、呪いをかけられた人は突然死するケースばかりが目立っていますね。どの人物も何かを拒むような行動を取って死んでしまうことが多いと」
ブレイク:誓約に反した行動を取ったからだろう。……ウラネにもその傾向は出ている。まずいな。
レダ:さっき【双子】がいる空間に戻りたくないと拒絶していたね。無理やり連れて行っても彼女が拒めばそこで命を落としてしまう可能性が高い。
アンジュ:ずっと意識を失わせ続けておくのが正解?
ブレイク:それも根本的な解決とは言いづらいな。戦闘中にも意識がない方がいいのかという問題が付きまとう。
レダ:一般人が我々の戦闘姿を目撃するのもまずいけど、いざという時に動けないのも……やはり、一番はウラネを連れて行かなくて良い状況を作ることだろう。
GM:「……あ、なんか一度だけ、その呪いを消せたことがあるそうです」
アンジュ:「本当!? 詳しく教えてくれるかな」
GM:「なんか、一人のオーヴァードが文様に向けてレネゲイドを流し込むっていう滅茶苦茶な手段を取ったんだそうです。その時近くにもう一人オーヴァードがいたらしくて、その人は触媒って呼ばれる珍しい力を持っている人で、無意識に仲間のレネゲイドを活性化させたとか。そうしたらいつの間にか、文様が消えてたらしいです」
ブレイク:文様にレネゲイドを流し込むだと? トトの言うとおり滅茶苦茶だな。
アンジュ:しかも触媒の力を持ったオーヴァードが傍にいたんだ……。
GM:「レネゲイドを流し込んだ人は……どうしても助けたい人だったからこんな無茶をしたと言って、その後は前線に出ることはなくなって、今は監視任務に当たっているとのこと」
アンジュ:「……責任を、取るためかな」
GM:「多分、そうだと思います。文様がついていた相手の人は一般人だったそうなので。幸い、その人がオーヴァードに覚醒することはなかったそうで、今はもう普通の生活を送っているという報告が上がっているみたいです」
レダ:監視任務というのもその人物を見守っているのだろうね。
ブレイク:いくら助けるためとはいえ、相手が覚醒してそのままジャームになんてなろうものなら目も当てられなかったはずだからな。
アンジュ:……でも、私たちも他人事ではいられないよ。
ブレイク:やるしかあるまい。これしか方法がないのだから。
GM:「【双子】に関しての情報はこれで全部です。後、ルーサーについてなんですけど、一応さっきまで俺が一人で調べていたんですけど、その……資料を見つけられなくて」とアンジュを頼るような声が聞こえてきます。もう一度先ほどと同じ判定に成功すればルーサーの情報も得られる可能性があります。
レダ:これは、悩ましいな。
アンジュ:そうだよ、私たち【双子】にばかり気を取られてたけど、ルーサーのこともさっぱり分かってないんだよね。
ブレイク:ここで情報を得られれば、奴らの目的が見えてくる可能性が高い。しかし、そこで判定を使うとウラネの呪いを解くために使える判定が1回だけになる。
アンジュ:失敗は絶対に許されないってことだよね。出来なかったらウラネを連れて戦いの場に行くことになる。
レダ:間違いなくきつい戦いになる。最悪それでウラネの死亡もあり得るし、なんなら我々の内誰かがロストする可能性も十分に出てくる。
アンジュ:GM、先にウラネの方の判定をすることって出来るかな? それ次第でトト君に力を貸せるか変わりそう。
GM:では一度、トトには用事が出来たと言って電話を切ることにしましょうか。すぐに折り返し電話をかけるのでその間はもうちょっとだけ一人で頑張ってみて、と。
アンジュ:そういうことでお願いします。……さあ、ウラネの文様を消す判定をしないと。
ブレイク:詳細の判定を聞かせてくれ。
GM:トトから得られた情報のお陰であなたたちはウラネの文様を消せる可能性も見出しました。幸い、触媒と呼ばれる特別な力を持っているオーヴァードも傍にいることですし、当然試そうとするでしょう。……最初に注意点を。この判定で一度に消せる文様は右手か左手、どちらか片方のみです。そして触媒を使えるのも一度のみ。
ブレイク:両方消すには二回判定しないといけないのか。
レダ:失敗した時点でアウトということは?
GM:いえ、失敗しても即座にウラネが死亡することはありません。これはあくまでも外的干渉であり、本人自身から誓約に対して反抗しているわけではないので、その点はご安心ください。ただし、この判定を行った時点で成否に関わらず触媒の力は使用したことになりますので使用回数に含めます。
ブレイク:触媒はシナリオ1回のみ。そうなると実質的な挑戦は一度だけだな。それにここで使うとこの後の戦闘でも使えなくなると。
GM:それだけではありません。判定の流れを説明しますね。触媒の効果は自身に使えないので、この効果の恩恵を得られるのは現在ブレイクのみです。なので、ウラネに直接レネゲイドを流し込むのはブレイクになるでしょう。
ブレイク:妥当だな。
GM:右手か左手、どちらか一方にレネゲイドを流し込むという判定は<RC>で行います。難易度は判定を行うと決定した時に初めて公開されます。
レダ:厳しい判定にはなるのは分かっているが……。
GM;この段階で成功した場合は触媒の力を使うまでもなく文様は消え、Eロイスの効果も消滅します。ここで成功できなかった場合、まずアンジュは触媒の力をきちんと発動できるか<意思>で判定。ここで失敗した場合、触媒の力は発動しなかったということになりますので使用回数には含めませんが、使えなかったことで自身の力に対して自信が持てなくなりますので、ウラネを助けるために触媒を使うことは出来なくなります。
アンジュ:どちらにしても挑戦は一度限り、ってことね。
GM:そして今シナリオ終了時点でアンジュのDロイス、触媒は失われます。
全員:ええええええええええええええっ!?
GM:触媒の力はそもそもが不安定なものです。自分の思い通りに使えず、その力もいまだ未知数。ただこの力が発動したと思われる時のチーム能力の増加は確か。だからオーヴァードたちからは高い評価を受けているに過ぎない代物です。そんな不安定な力を頼り、結果助けられなかったとなれば二度と頼ろうなどと、使いたいなどと思わないでしょう。
レダ:……Dロイスが消失、か。
ブレイク:挑戦さえしなければ、Dロイスの消失は招かない。
アンジュ:くううっ……! こんな形で触媒を拾われるとは……。
GM:触媒が発動した、しないに関わらず、その後にもう一度だけブレイクに<RC>の判定チャンスがあります。難易度は触媒の成否で変わります。そしてここまでの一連の判定を一回として扱います。
レダ:これは最初のブレイクの判定で成功を取りに行くのが堅実ではないか? その為には私が必要不可欠だが。
ブレイク:シーンを跨ぐということか。しかし、時間的な猶予があるとは思えん。ルーサーたちは既に動き始めているはずだ。
アンジュ:それに、死亡例がたくさんある中で唯一の成功例が触媒の力を借りたっていうのはやっぱり大事なんだと思う。文様を消して根本から解放してあげるには、使わないわけには行かないよ。……GM、挑戦すよ、その判定。ブレイクも手伝ってくれるよね?
ブレイク:アンジュが良いというなら、出来る限りやってみせよう。
アンジュ:うん。ここで迷う理由なんてないよ。ウラネは絶対に助ける!
GM:分かりました。では最初にどちらの文様を消すか宣言して下さい。
レダ:消さないといけないのはブレイクと一緒に戻って来いと指示をした方の文様だ。つまり女の子、フラウが使用した≪絶対の枷≫を消す必要がある。フローの方のはブレイクに伝えた時点で誓約はほぼ解決しているから、倒すだけでいい。
アンジュ:問題はどちらの手にフラウが文様をつけたか、だよね。
ブレイク:今までの行動に必ずヒントがある。……確か、フラウは左手を異形のものに変えるのが癖だったな。
レダ:なら左手の文様を消すのが正解のはずだ。
ブレイク:「……偶然っていうのはあるもんだね。俺がウラネの文様にレネゲイドを流し込むから活性化の方、頼むよ」と言って左手の文様にレネゲイドを流し込み始める。
アンジュ:「やってみます。……やってみせます!」
GM:ブレイク一度目の<RC>判定。難易度は50です。
レダ:これは≪妖精の手≫があったところでどうにもならなかったな……。
ブレイク:一応≪オジリン:ヒューマン≫を使用。……まさかのクリティカル2回だが、最終達成値は29で全然足りん。
GM:ブレイクが文様にレネゲイドを流し込むが、依然消える気配はない。それどろこか、まるで文様自体が抵抗するかのように赤く光り、さらに深くウラネの体に刻みこもうとしているようだ。
ブレイク:「呪い如きが、こざかしい」
アンジュの目から見てもブレイクが苦戦していることは分かる。その姿をまた見守っているだけというのは、もう嫌だった。
力になると決めたんだ。何でもいい。何か、自分が出来ることを──!
GM:アンジュの強い意思が自身の内なる力、触媒を呼び起こす。<意思>で難易度は11を出してもらいます。
アンジュ:<意思>のない私に、それは結構厳しい……! ううう、達成値は7だけど、ここでフラウにロイスを取ってタイタスにして昇華、達成値に+1Dする! 絶対にあなたたちなんかにウラネは奪わせない! ……くっそー! なんでここで3なの! ……ごめん! もう一つ切るね! さらにブレイクのロイスをタイタスに、昇華して達成値に+1D!
「今度は私が……──ブレイクさんに応えるんだあああああ!」
アンジュの想いが大きく膨らみ、何かが弾けるような感覚に襲われる。ブレイクへの今の気持ちはもう、執着でなければ恐怖でも無い。一人の人として、彼の力になりたいと心の底から思えている。
自身のレネゲイドには何の変化もない。だが確かに、ブレイクがウラネの文様に流し込んでいるレネゲイドが活性化していく。
アンジュ:出目は……2! 低いけど、これで達成値12で成功!
レダ:かなり無茶をしたね……。
ブレイク:出目ばかりは仕方がない。さあ、次は俺が応える番だ。
GM:アンジュの不安定ながらも力強い想いが確かにブレイクの流し込んでいるレネゲイドに作用している。もう一度<RC>で判定をお願いします。難易度は8です。
ブレイク:なるほど。触媒の力がなければどうあがいても無謀な挑戦だったというわけか。当然≪オリジン:ヒューマン≫を使用。達成値は11で成功だ。
GM:無理やり文様に流し込んだレネゲイドが暴れ、赤く光る文様を消していく。そしてウラネの左手の甲から文様は消え去った。ここでフラウのEロイス≪絶対の枷≫の効果は終了です。ちなみに、これによってウラネがオーヴァードに覚醒することもありません。正確なレネゲイドコントロールで文様だけに干渉したので。
全員:よおし!
GM:……右手の文様はどうしますか?
レダ:同じく難易度50を要求されるんだよね。そしてもう触媒もない。
ブレイク:やるだけ無駄だな。フローの文様に関しては放置するしかない。
GM:分かりました。本来このシーンは判定が3回まで行えるのですが、ウラネの文様を消したので現時点でシーンを終了します。1回分の購入判定を認めますよ。
アンジュ:ありゃ、順番はこっちを最後にするべきだったのね。
ブレイク:どの道一度しか挑戦できなかった判定だから、最後にするのが前提だったか。
レダ:やってしまったものは仕方ない。次に切り替えよう。
物は試しということでブレイク用にレザージャケットの購入をアンジュが試みる。出目がよく成功したのでそのままブレイクが装備して終了となった。
Middle 08 Scene Player ──── レダ
緊急手術室にミルが連れて行かれてから二時間ほどで、文字の点灯が消える。
手術は無事成功したと医者から伝えられたレダはそのままミルの入院手続きを終え、現在も眠り続けるミルの病室で椅子に腰かけていた。
GM:シーンは移って病院です。ミルの手術は無事に終わり、今はベッドの上で眠っています。点滴などがたくさんつけられていますが命に別状はないとのこと。早く治療出来たことが功を奏したようです。もう少し遅ければ危なかったと。
レダ:ひとまずは良かったと言っていいかな。
GM:容態も安定していますよ。傷は足にあった一か所だけで、そこも手術によって塞がっています。……流石に、大きな一生傷が残るとは思われますが。
レダ:……UGNに頼めば、それも綺麗に治してもらえるのかな。
GM:可能です。記憶を消してあげるのであればそこまでしてあげないと、覚えの無い大きな傷というのは気持ち悪いでしょうから。
ブレイク:確かに、これだけでかい傷跡があるのにその時の出来事のことをきれいさっぱり忘れているというのは気味が悪い。それで調べ出そうものなら本末転倒だ。
レダ:記憶についてもどうするかは考えておかないとな。
GM:ここで急ですが、レダは<知覚>で判定をお願いします。達成値は6と、もう一つは非公開。(こちらは15)
レダ:なんだ? 大きな数字を出せた方が多くの情報を得られそうだが……達成値は16だけど。
ブレイク:この後に待っているのは戦闘だ。≪妖精の手≫は残しておくべきだと思うが。
GM:あっ、思った以上に大きかったので振り直しは大丈夫です。どちらも成功です。
アンジュ:おおーっ。
GM:まず達成値6の情報から。ミルのいる病室は4人部屋なんですけど、個別用のカーテンが閉められています。その状態でもこの病室に誰かが入ってくるのが分かります。
レダ:他にも入院患者はいる?
GM:いません。4人部屋を贅沢にミルが一人で使っています。
アンジュ:病気の人が少ないって考えればいいことなんだろうけどね。
GM:そしてもう一つの情報は……ミルは実のところ、意識を取り戻している。
レダ:どういうこと?
GM:さあ。でも、狸寝入りをしていると分かりますよ。
レダ:ふむ? よく分からないが、私はそれを知っているということだな。しかし、ミルの狸寝入りの方が難易度の高い情報というのはちょっとひっかかる。
ブレイク:6の方は看護師だったとかだからか?
GM:続けますね。この病室に入ってきた誰かは迷うことなくレダの元というか、ミルの寝ているベッドに近付いてきています。
レダ:椅子から立ち上がってカーテンから出よう。誰かな?
GM:サラサラの薄い青髪で、毛先につれて紫色になっていて、右目が隠れている男。
ブレイク:なんだと!?
レダ:ルーサーがここに来たというのか!? しかし、何故……?
GM:「おや……。ハズレでしたか」と、レダの姿を確認するとルーサーはそのように言います。
レダ:「お前は──ここには何の用で来た」
GM:「いえ。ガキ共がブレイクが大切だと言った……えっと、ミルでしたか? を傷つけていましたので、もしかしたらここにいると思いまして、足を運んだ次第です」
ブレイク:俺を探して病院に行ったのか。いや、厳密にはミルの後を追えば俺に会えると思っての行動か。
アンジュ:ミルが怪我をしていたのを知っているから、病院に行くと目星をつけていたんだね。
レダ:「残念だが、ブレイクはここに来ていない。用件があるなら私が承るが」
GM:「いえ、自分で伝えますとも。お前如きに興味はない。……しかし、分からんな」
レダ:……ああ、これ、ミルも聞いているのか。
ブレイク:だな。さっきの情報でルーサーが来たことに気付ける方が難度が低い理由は、ミルにこの話を聞かれているのをこちらが認識出来るかどうかだったんだ。
レダ:「なら帰ってくれ。ここには病人が寝ている」
GM:「それもそうだな。どうせ彼の“王”が復活を果たせば、今を生きている人間がどれだけのさばろうとも全ては無に還る。精々、必死に生にしがみつくがいい」……ルーサー、帰っちゃいますけどいいですか?
レダ:私には話してくれる気配がないから、粘っても無駄だと思うんだ。
アンジュ:同感。気になることは言ってるけど、それを明かしてくれるのもブレイクがいないと無理そう。
ブレイク:下手に話されてミルに聞かれても面倒だ。ここは帰すのが賢明だろう。情報は得られないが、仕方あるまい。
GM:ルーサーは病室を出ていきました。
レダ:……少しだけ追いかけることは可能? 渡り廊下まででいい。
GM:今病室を出ればまだ廊下を歩いていると思いますよ。行きます?
レダ:ああ。追いかけるように病室から出て、渡り廊下を歩いていくルーサーに一つだけ聞こう。「さっき、分からないと言ったな。何が分からなかったんだ?」
GM:「ブレイクですよ。あれだけの破壊衝動を滾らせておきながら、よく分からん人間が連れ去られた途端にそれを手放した。かと思えば、怪我をしている人間の元に来ない。……全くもって、行動理念が不明です」
ブレイク:そうか。ルーサーはあの後ウラネに呪いが掛けられたことを知らないから、ミルの方にいると思ったのか。
アンジュ:だけど実際はいなかったから、言ってることとやってることの整合性の無さに困っているのね。
レダ:「ああ。確かに、彼の行動はいつも分からないことだらけだ。それなりの付き合いがあると自負する私にも到底理解が及ばないよ」
GM:「そうですか」と言って去っていきました。
レダ:最後まで私には興味がないといった態度だったな。もう一度病室に戻って、ミルの様子を見よう。まだ眠っている振りをしているようなら、一言声をかけて図書館に戻るよ。
GM:ミルのベッドに戻ってくると、目を開けています。
レダ:「ああ、ミル。目が覚めた? 具合はどう?」
GM:「よくは、ないですけど。……まあ、生きてます」
レダ:「……辛い思いを、させたね。私の責任だ。本当にすまない」
GM:「レダさんのせいじゃない。……俺、途中で気を失ったんです。ウラネを守らないといけなかったのに、俺だけ……」その眼はじわりと潤んでいる。
レダ:「ウラネは無事だよ。大丈夫。ミルのお陰で怪我一つなかった。今はブレイクとアンジュと一緒に図書館で休んでいる」
GM:「本当、ですか? それは、良かった。……そうか、怪我一つ、なかったのか」安心しきったように息を吐いて、目を瞑る。目尻がゆっくりと濡れていきます。
レダ:「ミルはよくやった。ウラネを守ってくれたこと、心から感謝している。本当にありがとう」
GM:「……レダさん。さっきの男、ブレイクを探しに来たんですよね」
アンジュ:それ聞いて来るのか。ミルにはもうゆっくりと休んでいてほしい……。
ブレイク:流石にこの身体で付いて来るなんてことは出来ないと思うが、釘は刺しておいた方が良いだろうな。
レダ:「聞いていたか。ここにはいないと言ったらすぐに帰っていったよ」
GM:「あいつ、なんなんです? 一緒に居たガキも……変ですよ、あいつら。すごく、危険だ……」
レダ:「……そうだね。とても危険な奴たちだ。だから私が守るよ。皆のことは、この私が守る」
レダが言った守るという言葉にミルは小さく頷き、疲弊しきった体を休ませるように眠りにつく。
その直前にミルはレダに言った。
「無茶はしないでください。……それと、今回のことが終わったら、話してください。レダさんとブレイクが、一体何なのかってこと」
「…………長くて、意味の分からない話が多いけど、いいかい?」
静かに、それでいて力強くミルの首が縦に振られ、そして寝息が聞こえてくる。
「ゆっくり休んで。後のことは必ず私が片付けておくよ」