正当な報復

Preplay 01 ──── 唯一の本

無事にキャラロストすることなく第0話のセッションを終えて数日。GMである自分は「唯一の本」の設定を改めて練り直していた。
ブレイク役を務めたことPC2さんが言っていた「唯一の本は人工物ではないのか?」という設定を固め直さなくてはいけなかったのだ。
自分としても唯一の本は人工物であるという設定はあった。だから採用することに問題は何もなかった。しかしアンジュやブレイク、そしてレダたちと絡めていかなくては面白みがない。偶発的に巻き込まれただけでしたというのはキャンペーンで遊ぶのに物足りないと言わざるを得ないだろう。
出会いやオーヴァードとなるきっかけは偶然で問題ない。そもそもとしてレネゲイドというウイルスに近い性質を持っているこれ自体が曖昧なものなので、そこに意味を持たせようとなるとFHやUGN、あるいはゼノスに頼る必要が出てくる。そしてそういった力の強い組織を出してしまうと、自然とそちらへ物語が引っ張られてしまう。
自分としては出来る限りこういった組織の色を出さず、正確には出たとしてもフレーバー程度に留め、出来る限り作って頂いたキャラクターたちを軸に話を展開したい。
これを実現するためにも「唯一の本」が一体なんなのか、という部分はしっかりと固めておくべきだと判断した。
願わくば、これが吉と出てほしい。

 

Preplay 02 ──── 司書勢揃い

第0話のセッション自体は短く終わったこともあり、第一話となる今回のセッションを行うまでの時間はさほど経っていない。それぐらいに期間に再び三人に集まってもらった。

GM:本日もお集まりいただきまして、ありがとうございます。
PC1(以下、P1):やっほー! 今回は早かったねー!
PC2(以下、P2):もう第1話になるシナリオが出来たのか?
GM:このシナリオ自体は第0話がキャラロストなしで終えられた場合を見越して作ってあったので。
PC3(以下、P3):準備がいいなあ。ロストしてたら使えなくなっちゃうかもしれないのに。
GM:そこら辺は0話自体が難度低めだったことと、皆様が無茶なプレイはしないであろうと分かっておりましたから。
P1:強力なエフェクトを使って華々しく散るのも嫌いじゃないけどねー。
P2:キャンペーンになるかもって聞いたら生存させたくもなるってもんだ。
P3:だね。我々三人のキャラクターがきちんとした形で集まった状態で始まるのは今からなわけだし、楽しみだよ。
GM:そういって頂けるとGM冥利に尽きます。では早速始めていきましょうか。まずは恒例のトレーラーから。

ここでトレーラー。

P2:軸となる人物がいそうだが……。
P1:理不尽な目に合って、何かしでかすって感じがするね。
P3:人為的に引き起こされた理不尽が今回の話に関係しそうだ。
GM:どうなっていくかはお楽しみでございます。次に一人ずつハンドアウトを。

アンジュ用ハンドアウト

GM:まずアンジュなのですが、カヴァーのみUGNエージェントから新米司書に変更されました。
P1(以下、アンジュ):これは前回のエンディング時に語られた内容だよね。
GM:そうです。レダに付き添ってもらい、無事に家へと帰宅したアンジュは後日、UGNに報告を行いました。ブレイクのことはもちろん、唯一の本のことについても。
アンジュ:そっちも報告はするよねー。
GM:唯一の本についての情報はいまだ少ないですから、経験者の話というのは大変に貴重です。ただしこれにより、今までUGN側が保持している情報との差異が大きいことも判明したので、唯一の本についてはもう一度調べ直す必要があるのではないか、という話が持ち上がってきます。
アンジュ;ありゃ。……ああでも、確かに言われてみると食い違いが多いんだっけか。何もしてなくても本の中から出られるっていう割に、本の主と呼ばれる奴を倒さないとダメだったりとか。
GM:後はアンジュを保護した時の検査でも出た、本の中でレネゲイドに感染したということもあります。これらから唯一の本についての誤情報が多くある可能性が極めて高くなったという具合です。
P2:謎が多いのはまず間違いないからな。
GM:本当は体験者であるアンジュも交えての調べ直しをしたかったところですが、残念ながら貴女にはもっと重大な任務が入ったので、報告書だけ提出してそちらの任務に当たることになっています。何より、事例が少ないことも依然として変わっていないので、現段階でどうこう出来るわけでもない、と。
アンジュ:ブレイクの監視役という私にしか出来ない仕事ですね? わっかりました。
GM:そういうことです。ではこちらがブレイクのハンドアウトです。

ブレイク用ハンドアウト

P2(以下、ブレイク):なるほど、こういう切り口で来たか。
GM:ブレイクは過去に頓着があまりないですよね。
ブレイク:ああ、ない。何百年も生きてきていちいち過去にあったことを覚えていたらジャームになってるだろう。
P3:確かに、長く生きているということはそれだけ嫌なこともあったはず。それらを全てではないにしろ、大きく心に残るような出来事を重ねて覚えていてはいつか心は壊れる……。
ブレイク:根本は性格が大きいと思うが、防衛本能として過去への興味を捨てた部分も少なからずあるだろうな。本人すら気付かない内に。
GM:古代種がジャームにならないため、必要となる感情操作なのかもしれませんね。
アンジュ:だから過去を乗り越えて前に進むことを決めたアンジュの行動に興味を示したってことかぁ。
GM:過去に起きたことに縛られてしまう人は意外と多いです。しかし、過去などただの通過点でしかないはずのものだと考えているブレイクにとって、過去に囚われるという感覚は理解しがたいことでしょう。
P3:まさに前回のアンジュは囚われていたものね。ついでを言えば、レダなんて今も囚われてる。
GM:はい。そんなレダをずっと見てきているブレイクにとって、過去と決別を果たして前に進みだしたアンジュはまさに興味を引く対象です。
アンジュ:だけど、それを観察したいってだけの理由で今まで断っていたUGNからの要望を多少でも叶えるって判断力はすごいよね。
GM:アンジュがUGNの者でなければまた違った提案もあったでしょうが、ブレイクとしては監視役というのが手っ取り早いと考えた感じです。
ブレイク:今のアンジュぐらいなら別に何の脅威でもないからっていうのもある。
GM:ですね。それでは最後、レダのハンドアウトです。

レダ用ハンドアウト

P3(以下、レダ):普通に司書として働いてることが書かれてるだけだ(笑)
GM:一番人間に近い生活をしているのは間違いなくレダですから、こうなりました。
アンジュ:私は一応UGNエージェント。ブレイクはRBだから、一番常識的な人間の生活をしているのはレダだけだね!(笑)
レダ:でもよくよく考えると、俺はUGNやFHに狙われなかったのかな? ブレイクの傍にいるオーヴァードなんだし、人質に使われそうだけど。
GM:UGNが人質にするようなことはないでしょうが、FHからはあったかもしれません。でもレダ自身もオーヴァードですし、何より傍についているのはブレイクです。易々と人質に取らせないでしょう。
レダ:まあ、自分の身は自分で守るけど。
ブレイク:俺もレダに及ぶ害には容赦しない。レダが巻き込まれことぐらい理解した上で一緒にいるはずだ。それでも傍にいるのはレダという人間を純粋に気に入ってるからだな。自身も辛いことがあったはずなのに他者への優しさを忘れないところとか。
レダ:なるほどね。それに今回のアンジュを見てレダに更なる期待を寄せるわけだ。レダもいつか過去ではなく前を向いて歩きだすのではないか、と。
ブレイク:事例はあるんだから、間違いなく期待するな。人は未来に向かって手を伸ばしに行けると。
GM:かつて暇つぶしのためだけに殺戮の日々を送っていた人物とは思えませんね?
ブレイク:……今、盛大なフラグを建てられたことを感じ取った。
レダ:疑うまでもなくこれからのシナリオで触れられるだろうね。
アンジュ:頑張れー(笑)
GM:お二人も他人事ではいられないように頑張りますよ。
アンジュ:あれえ……?
レダ:巻き込まれた(笑)
GM:ハンドアウトも配り終えましたし、前回獲得した経験点を使用してキャラクターの成長を行ないましょうか。

前回のセッションで得た経験を使いキャラクターのデータを書き換えてもらい、次は軽い紹介だ。ちなみにここでアンジュにはカヴァーをUGNエージェントから新米司書に変更してもらっている。

○アンジュ
「本日より新しくこちらに配属されましたアンジュです。司書になったばかりですが、どうぞよろしくお願いします!」

アンジュ:新米司書になったアンジュです。理由はブレイクを監視するためなんですけど、そもそも提案してきたのはブレイク本人からなので当然知っているとして、同じく話を聞いていたレダも分かっていて受け入れてくれてる……で、いいんだよね?
GM:大丈夫です。分かっているからこの図書館に配属されました。それにしても明るくなりましたね。
アンジュ:オーヴァードになる前に戻った感じだよ。これからは持ち前の明るさで二人のお世話になるつもり。ブレイクのことは先輩呼びで、レダのことはこっそり心の中でレダ様って呼んでる。一応表では同じく先輩。
ブレイク:いつかボロ出して本人の前でレダ様って口を滑らせそうだな。
アンジュ:実はそれを狙っている(笑)
レダ:狙っているのか(笑)
アンジュ:成長としては堅実に<射撃>をレベル5に、≪コンセントレイト:ブラム=ストーカー≫と≪死点撃ち≫を1レベル上昇。後は≪異形の刻印≫も1レベル上昇させて終わり。
GM:堅実に強くなりましたね。固定値での安定性とC値減少、そして攻撃力に耐久を上げたと。
アンジュ:このキャンペーンは三人だから、火力を上げないわけにはいかないからねー。
GM:攻守のバランスは難しいですからね。こちらも人数に合わせた調整はしているつもりですが、頑張ります。

○ブレイク
「仕事のことはレダに聞いて。困ったことがあったらレダに……ああ、俺自身のこともレダに聞いて」

ブレイク:質問攻めは嫌いだから、全部面倒ごとをレダに任せているブレイクだ。
アンジュ:これひどすぎでしょ(笑)
レダ:せめて自分のことぐらいは答えてやってくれ(笑)
ブレイク:怠惰なわけではないんだが、自分にとって興味のないことにやる気はあまり出せないタイプだ。
レダ:やらなきゃいけないことだけは最低限言われない程度にこなすだけって感じか。
ブレイク:別に命がかかってる場面でもないからな。それで成長に関してだが<白兵>をレベル7にして≪コンセントレイト:ウロボロス≫と≪リフレックス:ウロボロス≫を最大レベルにした。以上だ。
GM:ふむ、こちらも固定値をがっつりと上げてきましたね。エフェクト面は攻守ともにC値を下げてきた感じですか。
ブレイク:実は前回取っていたものの固定値がないせいで意味の無いエフェクトが一つあってな。それを有効化する意味でも固定値を上げるのは急務だった。
GM:なるほど。これはブレイクを落とすのに骨が折れそうですね。それでは最後にレダ、お願いします。

○レダ
「この館内に勤める皆を代表して私から挨拶を。ようこそ、アンジュ。貴方と共に仕事が出来ることを嬉しく思う。世話係はこの私、レダが受け持つことになった。困ったことがあったら遠慮なく聞いて?」

レダ:アンジュがこの図書館の司書になった理由はもちろん知っているけれど、それを抜きにしてもアンジュの成長を傍で見たこともあって、見守っていきたいと思っているよ。縁は薄かったとは言っても全く知らない子ってわけじゃなかったこともあるから。
アンジュ:それは素直に嬉しいなぁ。
レダ:迷っているアンジュの手助けをして前に進みだしてくれたのだから、さしずめ娘を見守る親のような感覚だ。
ブレイク:歳は十個ぐらいしか違わないんだけどな。
GM:十分に女性として見ても良い範囲だとは思いますが。
レダ:出会い方が違えばもちろんそうだろうけど、今のところは娘に近いかな。じゃあ成長の方だけど、私も<RC>をレベル7まで上げて、後は≪ワードハイヤード≫を最大レベルにして終わり。選択したアイテムは全てRCブースターだよ。
GM:≪ワードハイヤード≫はプリプレイ時の間に宣言して頂ければ毎回所有するアイテムの変更を認めています。変更するときは何に変更するかを宣言して持ち物欄の書き換えを忘れずにお願いしますね。
レダ:了解した。私は≪雨粒の矢≫の関係でC値を下げる術が乏しいので固定値がどうしても必要になった次第だ。
GM:なんでしょう。全員目的があって固定値を上げているのに、どうにも前回の出目の悪さがあったせいのように感じます……。
全員:否定はしない。
GM:その理屈で行くなら私にも固定値が必要そうです……。

***

GM:さてPC間ロイスのお時間です。順番はひねりなくP1→P2→P3→P1です。
アンジュ:私はブレイクに。ポジティブは変わらず憧憬にしたよ。自分の意志でオーヴァードの力を使うことを決意してから改めて分かったことだけど、ブレイクの実力はやっぱり抜きんでてる。それだけうまく力を使いこなせることに対しての憧れから。ネガティブは不安で、自分でブレイクの監視役なんて務まるのかなって思ってる。表はポジティブです。
ブレイク:こちらはレダに。ポジティブは友情、ネガティブは不安と前回から変わらず。表にしているのはポジティブだ。
レダ:レダからアンジュへはポジティブに尽力を取った。前を向いたとはいえまだ不安もあるだろうから、支えていこうと思ってる。
アンジュ:これはお人好しが全開で発揮されてる(笑)
レダ:まさにそんな感じ。それでネガティブは嫉妬。アンジュが前を進みだしたことに対しての感情だ。
ブレイク:レダ自身はまだ妻と娘を失った日で立ち止まったままだから、か。
アンジュ:どうにかしてあげたいけど、アンジュはまだレダの過去を一切知らないんだよね……。
レダ:それを語る日はまだ先だろうね。表にしてるのはポジティブだよ。
GM:では全員が決まったところでメインプレイに移行します。……それでは、よろしくお願いします。
全員:よろしくお願いします!