正当な報復

 Middle 05 Scene Player ──── ブレイク

 本の中が崩れ去った。
 物凄い衝撃に襲われ、身体が悲鳴を上げた。もしもオーヴァードでなかったなら、ここで命を落としていただろう。しかし、次に目を開けてみれば先ほどと何も変わらない光景がそこにはあった。

GM:まだ続きますよ。次のシーンは色のついた男が死に、本の中が崩れた後です。あなたたちは本の中に入った一番最初の場所にいます。先ほどまでの記憶はありますし、身体中傷だらけですが。
レダ:夢ではなく、確かに起こった出来事だったということか。しかし、分からないことが多いな。「……一体、何が」
GM:混乱しているあなたたちをよそに、たくさんの白い人たちが歩いています。どの人も顔には陰りがあって、足取りも重そうです。行き先はもちろん、葬儀会場。この中には色のついた男もいて、白い人たちと同じように暗い顔をしている。
ブレイク:「どうやら、同じことが繰り返されているみたいだ。映画のワンシーンを切り取って、そこだけを何度も再生するように」
アンジュ:「どうして……?」
ブレイク:「さあ、そこまでは俺にも。だけど、世界が崩壊した原因は何となく予想がついてるよ」
レダ:「先ほどの、色のついた男性が死んだから、か」
ブレイク:「恐らくね。どうやらこの本の中は彼が死ぬことでリセットされてしまうみたいだ。そしてまたこの場所から始まる」
レダ:「さっきの白い植物、本の主はこう言ってた。またここに来て、と」
アンジュ:「同じことをしてくれ、ってことなんでしょうか?」
ブレイク:「男を死なせたらまたこの世界は崩壊し、そして再形成するだけだ。……いや、本の主の狙いがそれだとするなら?」
レダ:「この世界を崩壊させたがっている?」
ブレイク:「あるいは同じことを繰り返したいのかもしれない。それをしなくてはならない理由が本の主にはある、とか」
アンジュ:「ですが、最後に聞こえてきたのは明らかに異様でしたよ。ブレイクさんのことを知りたい、とか」
ブレイク:「俺はあんな奴知らないんだけど、どうにも向こうは俺のことを知ってるみたいだね?」
レダ:「また来てというのはブレイクに向けた言葉?」
ブレイク:「あり得ない、とは言えないかな。まあ、謎は多く残ってるけど、することも見えてきた。俺たちの目的はあくまでこの本の中から脱出することだ。そして本の主を見つけたのであれば、後は簡単だろう?」
アンジュ:「本の主を倒す、ですよね」
レダ:「だけど、今回は色のついた男も守らないと。彼が死んでしまったら、また繰り返してしまう」
ブレイク:「時間としてはそう多くは残されていないか。じゃあ、早速護送車を襲いに行こうか」
GM:どのように護送車を探しだすかは決まっていますか?
ブレイク:取りあえず先ほど護送車を見つけた道路にまで行って、その車が向かっていたのとは逆方向に進むつもりだけど。
GM:みなさん、それでいいですか?
レダ:「……悪いんだけど、二人で先に護送車を探してくれないか?」 私は葬儀会場に入って、色のついた男と話がしてみたい。負担をかけることに、なるけど。
ブレイク:ああ、レダはそうしたいはずだよな。「別に、俺は構わないよ」
アンジュ:レダの過去を考えたらね。「どうかしたんですか?」
レダ:「少し、さっきの男と話してみるよ。もしかしたら、何か有益な情報を得られるかも。それに時間稼ぎが出来るかもしれないし」
ブレイク:「この世界の重要人物であることに違いはないから、有効な手立てだと思うよ。……じゃあアンジュ、行こうか」
アンジュ:「あっ、はい! あの、レダさん、気をつけて……」
レダ:「アンジュも気をつけて。無茶はしないで、ブレイクを頼って」
GM:でしたらここで一度切って、レダのシーンを追加しましょう。
レダ:よろしく頼むよ。

 アンジュが≪不死者の恩寵≫を使用してHPを18まで回復。

 Middle 06 Scene Player ──── レダ

 初めは何も思わなかった。
 当たり前と言ってしまえば、確かにそうだ。見ず知らずの人間に何かを思うことはまずない。
 だが今は彼に対しての興味が尽きない。──正確には、彼が成そうとしていることに対しての興味か。

GM:場面は葬儀会場内。かなりの参列客がいるので、紛れ込むのは容易です。一応ですが、レダ以外登場不可です。
レダ:生前にそれだけの徳を積んでいたか、遺族の意向か。どちらにしろ今回に限ってはありがたいことだ。色のついた男を探すよ。
GM:すぐに見つけられます。色のついた男はどうやら被害者の家族、というわけではないようで、被害者の友人だったり知り合いだったであろう他の者たちと同じように遺影が飾られている中央より離れた場所の椅子に腰を下ろしていますね。表情は暗く、下を向いて何かを必死に堪えているようです。
レダ:それはオーヴァードとしての力を抑えようとしている感じ?
GM:いえ、泣くのを堪えようとしています。
ブレイク:本当に知り合いが亡くなった感じなんだな。
レダ:隣は空いてたりしないかな。
GM:では空いていることにしましょう。隣に座れますよ。
レダ:まず、語尾が聞こえない感じに言う。「隣、いいですか」
GM:「どうぞ」と消え入る声で返事があります。
レダ:そっと、音を立てないように座るよ。男の様子は?
GM:一度も顔を上げませんね。ずっと俯いて、両手を合わせて握りしめているようです。時折手に力を入れては抜いてを繰り返しているのか、手の甲に指の形で白くなっている痕が。
レダ:力の入れ過ぎで血流が悪くなっている感じか。なら私も顔を上げず、俯いたままため息をついたり、なんでこんなことに……と呟いたりして悲しんでいることをアピールしよう。
GM:男が声をかけてくることはありませんが、レダの声に共感しているようですね。レダの声に反応するように手に力が入ったり抜けたりしています。
レダ:良い感じだな。ではここで仕掛けてみよう。「……死ぬべきは、犯人の方じゃないか」
アンジュ:責めるね……!
GM:男の肩が動きました。先ほどまでの反応とは明らかに違いますね。なんてことをこいつは口にするんだと思いながらも、確かにそのとおりでは? と感じているようです。
ブレイク:復讐を焚き付けるつもりか。
レダ:これ以上はいいだろう。後は普通に葬儀に出て、終わったら帰ろうとするよ。
GM:分かりました。葬儀は終わり、レダが帰ろうとすると背後から声をかけられます。相手は色のついた男。
レダ:振り向いて、頭を下げよう。
GM:「いきなり悪い。……あんたも、アビゲイルの友達?」
レダ:「ええ、まあ。そこまで付き合いが長かったわけではないのですが。……良い人でした」
GM:「……あ、悪いな、名乗りもせず。俺はビート。アビゲイルとは、それなりの付き合いがあったんだ。でも、こんなことになっちまって……ほんと、残念だよ」
レダ:「私はレダと申します。……この世は本当、理不尽なことばかりです。罪のない者ばかりが、悪意にまみれた者に命を奪われてしまう。それも、いともたやすく」
GM:「そうだ。……そのとおりだ。あんた、さっき言ってただろ。葬儀の時」
レダ:「──ああ、すみません。聞こえていましたか。うかつなことを口にして、失礼しました」
GM:「いいんだ。俺、あんたの言葉を聞いて、そのとおりだって思ったんだ。──アビゲイルを殺した奴だって、死ななきゃおかしいよな?」
レダ:ジャームかどうかの判断はつかないが、やる気は充分そうだ。「……大きな声では言えませんが、私は常々そう思っていますよ。法が裁く? 何ぬるいことを言っているのか、とね」
GM:「あんたも、なんかあったんだな」
レダ:「今回のような愉快犯に、大切な人たちを奪われた。挙句、私の方は犯人はいまだ野放しだ。このようなこと、許せるはずがない。可能ならこの私が自らの手で、裁きの雷を落としてやりたい」
ブレイク:まあ……そうだよな。レダの復讐心も、ビートの復讐心も、一方的に悪だと断罪出来るものじゃない。どれだけ復讐はいけないことだなんて道徳的に訴えようと、理不尽に晒された人間の心に響くのは同じ理不尽に晒された者の声だけだ。
アンジュ:だからあの時もブレイクはレダの方に寄ったんだよね。
ブレイク:それだけではないが、復讐は悲しみを増やすだけだよなんて言葉の方がブレイクにとっては理解しがたいってのもあるからな。
アンジュ:ごもっともで。
GM:「ありがとう。見ず知らずの俺に話してくれて。俺、決めたよ。アビゲイルの仇を取るって。幸い、どういうわけかそれを出来るだけの力が俺にはあるからよ」と言って、ビートは歩き始めます。それは一度崩壊した時に走り去った道と同じです。
レダ:ついていくよ。そしてこう伝える。「私にもその復讐を分けてくれないか? 理不尽を振り撒く奴らに、二度も大切な人を奪ったことをその身に分からせてやらないと」
GM:「もちろんだ。歓迎するぜ、レダ」
アンジュ:これは……! どうにかしないとレダが闇落ちしてしまう!
ブレイク:頼んだ。
アンジュ:丸投げするなー(笑)
GM:ブレイクもどちらかというとレダの方に理解を寄せていますから、一般的と言われる感覚を持ち合わせているのはアンジュしかいませんね。
アンジュ:わーん!
GM:アンジュの胃痛案件が増えたところで次にいきましょう。