Opening 01 Scene Player ──── アンジュ
本日、この小さな図書館にめでたい報告が入った。
新人がやってくる。
この話は瞬く間に広がり、先輩たちは今か今かと新人の出勤を待っていた。
GM:あなたは本日より新米司書として働くことになっており、既に勤務先の図書館についています。カウンターの奥にいると思うだけで、自分は利用客としてここに来たのではないと実感するでしょう。そんなあなたを一番に迎えてくれたのはレダです。ということで、レダも登場をお願いします。
レダ:了解した。
GM:アンジュは……社会人として働くのは初めてですか?
アンジュ:そうなるかな。バイトぐらいはしたことあるかもだけど、社会人となる時期はUGNでレネゲイドの制御法を学んでたから。
GM:分かりました。では初めて社会人としての一歩を踏み出すアンジュにレダは何か言いますか? レダがアンジュのお世話役であることは他の司書たちも知っています。
レダ:もちろん、かけさせてもらおう。「ようこそ、アンジュ。改めて自己紹介を。私はレダ。今日から貴女と共に働く仲間だ。アンジュの世話役も私だから、困ったことがあったら聞いて?」
アンジュ:「よろしくお願いします!」 と、緊張した感じの声で返事をするよ。
レダ:GM、この図書館の司書の数は?
GM:五人です。
レダ:アンジュを含めて?
GM:アンジュを含めて。
レダ:少ないな。ならアットホームな感じの職場か? だとすれば第一印象はかなり大事だから、挨拶の仕方を教えよう。まあ、ノックをしてから扉を開けるとか、その時に失礼しますと声を出すと良いとかごくごく普通のことを。後は軽い紹介を私からして、その後にもう一度改めて名乗ってもらう感じだと一連の流れを伝えよう。
アンジュ:「分かりました。その、これからお世話になります」
GM:ちなみに他の三人はカウンター奥にある司書用の部屋で待機しています。ガラス越しなのでなんとなく、向こうの三人がこちらのやり取りを見ているなーってことが分かるでしょう。ということで、ここでブレイクもガラス越しですが登場をお願いします。
ブレイク:いいぞ。その他の二人ってどんなヤツとか決まってるのか?
GM:はい。一人は男性で、名前はミル。短髪の青でいつも気だるげな感じですが、仕事の腕はレダに次いで中々のものです。ただやる気はいつも無さげ。
ブレイク:気が合うな。
GM:女性はウラネ。胸元にまで伸びる赤い髪が特徴的で、お淑やかです。カウンターでの受付として人気がありますね。ただおっちょこちょいなところがあって、仕事のミスがたまにありますが、そこはミルやレダ、あるいはブレイクが訂正したりとフォローしています。
ブレイク:本人の気づかない所でダブルチェックとかしてこっそり直してるやつか。気が合うかと言われると微妙なラインだが、嫌う理由もない。適当にやっているだろうな。
GM:選定が早いですね。この二人はレダのことを慕っています。またブレイクのことも仕事は出来る人だという認識です。ウルネはミルとブレイクのことを不愛想な人たちだと思いながらも仕事振りを認めています。ミルは意外とブレイクに親近感を覚えているみたいですが、だからといってわざわざ絡んでくることはない感じです。
レダ:なんだかんだでうまくやっているんだね。
アンジュ:私、輪に入っていけるかなー。
レダ:そこは私がフォローしていくよ。
アンジュ:甘えよー(笑) じゃ、教えてもらったとおりノックして、失礼しますって言って入るよ。
GM:扉を開いて中に目を向ければ、青髪の男性と赤髪の女性がそれぞれ会釈を返してくれるよ。
ブレイク:俺は……じっと見ていよう。
レダ:私もアンジュに続いて入って、アンジュの前に出てみんなに紹介しよう。「彼女が本日からこの図書館に配属されたアンジュだ。全体的な指導は私が受け持つことになっているが、困っていたら皆も手を貸してあげてほしい」
GM:「お任せください」とウラネが自信ありげに答えると、それを見たミルはちょっと不安げな表情を浮かべた後に「分かりました」と頷く。
レダ:おっちょこちょいだから不安を感じたのか。ミルも苦労人だなと心の中で思いながら、私はブレイクに視線を向けよう。
ブレイク:「構わないよ。でも、レダが教えるならそんなことも起こらないと思うけど」
GM:それにはミルとウラネも賛同しますね。二人ともレダのことは仕事の腕も人柄も尊敬していますから。
アンジュ:みんなレダのこと信頼してるんだね。じゃあそんなレダに教えてもらうんだからきっと大丈夫なんだって思って安心する。
レダ:「まったく、調子がいいな。次は我々の紹介をアンジュにしよう。私のことはもう大丈夫だよね。まず、彼女はウラネ」と言って手で示すよ。
GM:「紹介に預かりました、ウラネです。新しい人が女性って聞いて、すごく楽しみにしていました。どうぞ、よろしくね」
アンジュ:そっか。今まで紅一点だったのか。これは甘えていくチャンスだ! 「はい! 何卒、よろしくお願いします!」
レダ:「次に、彼はミル。自分の仕事を覚えて余裕が出て来たら、一度話を聞いてみると良いよ。彼のやり方は参考になるから」
GM:「ミルだ。俺のやり方はいきなりだと難し過ぎるから、慣れて来たら聞いて」
アンジュ:「分かりました。早く腕を上げられるように勤めます」
レダ:「うん。最後に、ブレイク。彼は自身が担当していない業務についても色々知っているから、困ったことが出て来たらとりあえず聞いてみると良い。解決策を出してくれるはずだ」
ブレイク:「えらく持ち上げてくれるな。レダだって出来るでしょ」
レダ:「もちろん、全面的に私が教えるけど、いつでもついていてあげられるわけじゃないからね」
GM:こんな感じで新米司書の一日が始まりました。とは言っても現在の時刻は午後です。この図書館は午前と午後で時間が分かれていて、ミルとウラネが午前の担当。そしてブレイクとレダが午後の担当なので、二人はこれでお帰りです。
アンジュ:あらっ。じゃあレダに教えてもらうことになっている私も午後の担当になるのかな?
GM:そういうことになります。お昼時の時間は午前も午後も被るので、一日大体二時間ぐらいは全員そろいます。
アンジュ:オッケー。同じ職場なのにあの人見たことないってことにはならないね。
GM:といった場面でシーンを変えましょう。
Opening 02 Scene Player ──── レダ
新米司書、アンジュを迎えた初日。
現在彼女はレダに教わったとおりの手順で仕事とにらめっこしている。
そんな時、カウンターにやってきた人物がいた。
GM:次はレダのシーンです。ここでは他の人の登場は不可とします。
アンジュ:同じ館内にいるのに登場不可って、何が起こるんです?
ブレイク:ろくなことじゃないだろうな(笑)
レダ:無茶なこと言われるのかなあ(笑)
GM:現在の時刻は17時を回ったぐらいで、夕日の光が窓から差し込んでいます。そんな時、小さな女の子を連れた女性が大股でカウンターにまでやってきて、一番近くにいたレダにとげとげしい声を掛けます。
レダ:いきなりだな。「どうかいたしましたか?」
GM:「どうもこうもないわよ! ここ、図書館でしょ! 子供も利用するのよ!」と、いきなり怒鳴ってきました。
レダ:んー、要領を得ないな。子どもも利用するってところに何かあるんだろうけど……。「申し訳ございませんが、何があったのかお話しいただいてもよろしいでしょうか?」
GM:すると女性は一冊の本をカウンターに叩きつけ、さらに大きな声でこういいます。「こんな下品な本を棚に並べるなんて、どういう神経してるわけ!? まったく! 信じられないわ!」と怒鳴り散らしてますね。
レダ:下品な本? って、なんだ?
GM:エッチな本のことです。
全員:えっ?
GM:もちろん、これは図書館側が手続きをして並べた本ではありません。カウンターに叩きつけられた本を見ればすぐに分かりますが、図書館で貸し出しをするためにつけられる専用のバーコードもついていなければ、パッと見では図書館の名前も書かれていません。
レダ:誰かがイタズラで本棚に入れていったと?
GM:恐らくはそうでしょうね。そしてそれをたまたま見つけてしまったこのお母さんは、破廉恥だーって怒っています。
レダ:あー、了解した。これは図書館のものじゃないとか言っても火に油だろうなあ。
ブレイク:どうせ「きちんと本の管理をするのも仕事でしょ!」とか言ってくるぞ。
GM:どうしてばれたのでしょう……。
アンジュ:分かりやすすぎる(笑)
レダ:「申し訳ございません。大変に不快な思いをさせてしまったこと、深くお詫びします。今後はこのようなことがないよう、注意深く本に気を配っていく所存です」
GM:では、一通りの不満をぶつけ終えた女性は満足したように女の子の手を引いて図書館から出ていきます。まだ何かぶつぶつ言っているような声も聞こえる気がしますけど。
レダ:嵐のようだな。他の利用客がいないか見て回って、居たら騒がしくしたことの謝罪をしに行こう。
GM:分かりました。ではレダが理不尽な怒りをぶつけられた所でシーンを切りますね。
Opening 03 Scene Player ──── ブレイク
いつも静かな図書館に、似つかわしくない音が響いた。
どうやらそれは一人の女の声だったわけだが、あまりの不快さに音としてしか認識できなかった。
体裁を保つためにレダが頭を下げている姿が見え、人間の社会はこういった面倒ごとがあると久しぶりに感じた。
GM:最後、ブレイクのオープニングシーンはレダが女性に怒鳴られた直後です。
ブレイク:ふむ。躊躇うことなく奥の司書室から出てカウンターに近付く。
GM:でしたら、丁度好き放題言い終えて去っていく女性と、その女性に手を引かれて図書館から出ていく女の子の後ろ姿が確認できるでしょう。
ブレイク:……ここで何かする必要もないだろう。興味なく視線を逸らす。レダは確か、館内の巡回に行ったんだったか。
GM:そうですね。レダが望むならここでブレイクと何か言葉を交わしてから館内を回ったことにしてもらってもいいですよ。侵蝕率を上げることになりますが。
レダ:いや、まだシーンには登場しないでおくよ。必要になりそうだったらその時に改めて。
アンジュ;あ、私は出たいな。流石にそんな騒ぎ声が聞こえて来たら心配だし。
GM:了解しました。ではアンジュも何事だろうかとカウンターに来れば、ブレイクが何かを見ていることに気付くでしょう。ブレイクの目に移るっているのは女性がカウンターに叩きつけていった本です。
ブレイク:あー、そういえばレダがこの本についてどうしたって何も言ってなかったわ。
レダ:すまん、完全に忘れていた(笑)
アンジュ;インパクトはあったはずなんだけどね(笑)
レダ;完全に他の利用客へのケアが先だと行動してしまった。
ブレイク:表紙からしてエッチな本って分かるのか?
GM:いいえ?
アンジュ:わかんないの?
GM:本のタイトルは「秘密の花園」です。
レダ:漫画や雑誌じゃなくて官能小説ってことか。
GM:そういうことです。でも、間違いなくこの図書館のものではない。
ブレイク:……聞きたいんだが、こういうイタズラで紛れ込んだ本って、司書はどういう処理をするのが一般的だ?
GM:調べても出てこなかったので私の見解で大変恐縮ですが、別の図書館の本でないかの確認だけは取って、どこの物でもなければそのまま廃棄で問題ないでしょう。市内の図書館であれば借りた図書館でなくても返却できる場合もあるので。
ブレイク:了解した。その図書館の名前が印字される場所は?
GM:これも図書館によって違うことがありますが、天と呼ばれる本を立てた時、上に見える切り口に印鑑を押すか、または地と呼ばれる本を立てた時、下になる切り口に印鑑を押してあります。そこになければ裏表紙の内側に押してあるタイプもあるかも。
ブレイク:ではまず、天と地を確認だ。
GM:どこかの図書館のものだと証明する印はないですね。
アンジュ:ブレイクの行動が分からないから、聞こう。「あの、何してるんですか?」
ブレイク:「図書館の物だったら印字があるから、それを探してる」と言って適当に返却箱に入ってる本を一冊取って見せよう。
GM:この図書館の本たちはみんな天の部分に印字があります。
アンジュ:「こういう印をつけるのも私たちの仕事なんですね」
ブレイク:「そうだよ。まあ、ただハンコを押すだけだけど」と官能小説の方に視線を落としながら答えよう。では、裏表紙をめくって中を確認する。
GM:分かりました。ではブレイクが裏表紙を開けた瞬間、視界が歪みます。そして次に視線を上げれば、そこは真っ白な世界に黒い線で街が描かれている場所でした。
ブレイク:本の中、か。
アンジュ:まあ、そうだよね……。
GM:ご明察。では、次からミドルシーンです。