ここはハナダシティ。水色がよく似合う瑞々しい花咲く街。
「んんーっ、ずっと山の中だったから、外の空気がおいしい!」
「ふぅ……、ピッピを捕まえた後も何度か転びそうになっている所を見せられた、こっちの身にもなってほしいよ」
「こけてないからセーフセーフ!さぁ、ハダナシティに来たらすることはひとつ。ジムに挑戦よ!」
おつきみ山で捕まえたピッピの初バトル。……くぅぅ、燃えてきたぁ!
「ここ、ハナダシティは水が綺麗で神秘的な街と言われているんだよ」
「ふむふむ。ということはジムリーダーは水ポケモンの使い手ってことか」
水タイプに有利な草や電気タイプのポケモンは持ってないけど、逆に水タイプに不利なポケモンもいないから……。
「今回のポケモンバトルは、純粋なトレーナーの腕にかかってきそうだね」
「前のジム戦では不利な相性を覆したんだよ?それなら今回も大丈夫だって!」
「そういう慢心が負けに繋がる原因なんだよ。分かってるのかい?」
「そんなに私、慢心してるかなぁ?」
「かなりしてるよ。ボクからの助言をするなら、今日はジム挑戦をやめておいた方がいいと思うけど」
うーん、ここまでダイゴさんが口を挟んでくるなんて今までなかった。
先輩トレーナーの助言は聞いておくべき、だよね。
「……うん、今日は山から下りたばかりでポケモンたちも疲れているだろうし、ゆっくり休ませてからにする」
「いい判断だね。戦うのはボクたちトレーナーじゃなく、ポケモンたちだということを忘れてはいけないよ」
私ばかりがやる気出してても、ポケモンたちが本調子じゃなかったらダメだよね。
「……もし、私がこのまま突っ走ってジム戦に行くって言ってたらダイゴさん、どうしてた?」
「止めはしないよ。でも今の状態じゃ、とても勝てるとは思えないかな。……まぁ、負けて学べる事もあるとは思うけどね。ただ……」
「ただ……?」
「全力で戦って負けたのならボクは何も言わないけど、ポケモンたちの状態をきちんと管理できないまま挑戦して負けたとなれば、もちろんお仕置きするつもりだったよ」
「お、お仕置きっ!?」
ダイゴさんのお仕置きって……ポケモンバトルとかそういうのじゃなくて、スキンシップの意味合いのほうだよね!?
そんなの冗談じゃない!おつきみ山みたいなことになったら……あああ!思い出すだけで恥ずかしい!
って、何不埒な事考えてるのよ私!
まだお仕置きの内容がそういう意味合いだって決まったわけじゃないし、まずお仕置き自体回避したし!
「海杏、顔を赤くして……何を想像していたのかな」
「ななな、なんでもない!ほら、今日は早めに休んで、明日の朝一でジムに挑戦しよ!」
「ははは、本当わかりやすいなぁ、海杏は」
一体誰のせいでこんなに意識しちゃうようになったと思ってるのよ、全く!
まぁ……、ダイゴさんのことを……す、すす、好きになっちゃった自分のせいなんだけど……!
なんかもう、山を抜けたとき以上に疲れた……。今日はポケモンセンターでゆっくりしよ。
「すみませーん、ジムに挑戦しに来た者です!」
「はーい。今行きまーす」
声からして、ハナダシティのジムリーダーは女の人かな?
それにしてもジムの中にこんな大きいプールがあるなんて……、見るからに水ポケモンを使いますって言ってるようなもんよね。
ただ、陸地が少ない……。チルットは飛べるからそこまで関係ないけど、ピッピを出すときは気を付けないと。
「…………、ジムリーダーさん来ないんだけど」
「さっき奥から声が聞こえたし、もう少し待ってみなよ」
「お待たせしてごめんなさーい!ようこそハナダジムへ!相手はこのあたし、おてんば人魚ことカスミが受けて立つわ!」
「あ……私は水瀬海杏って言います。……ところで、どうして水着……?」
白の競泳水着にラッシュパーカーって、似合っているから文句ないけど……。今からポケモンバトルをするというのに何故……?
「これが私の正装なのよ!さ、ポケモンバトルしましょ。ルールは2VS2の勝ち抜きでどう?」
「あぁいや、カスミさんがいいなら私は別に……それで構いません」
「それじゃ、早速……行け、My Steady!」
相手はヒトデマンか。タイプ一致のみずでっぽうに注意しないと。
「まずは初戦、がんばってきて!ピッピ!」
「ピッピー!」