無数のマスターハンドを従え、新たな創世を狙うキーラという存在がいた。
光る球体を、翼とも鎧とも見て取れる虹の衣で作られた外殻を纏わせており、光の珠自身が操っているのか、自衛システムのようなものなのかは分からない。
最も存在感を放っているキーラと対峙しているのは、反抗勢力である、この世に存在しているありとあらゆる世界から集まったファイターたち。
この世界を賭けた最終決戦は今まさに、始まろうとしていた。
しかし……。
キーラに従うマスターハンドたちと、キーラ本体から放たれた圧倒的な光に包まれ、最終決戦は呆気なく終焉を迎えた。
立ち向かった者は全面から迫り来る光を防ぎきれず、己を守るバリアや結界を張った者はもろとも呑みこまれ、空に逃げようとも追いつかれ、地に潜ろうとも大地ごと光の中に姿を消した。
広大な宇宙の中、数ある一つの星だけではなく、宇宙に広がり存在しているとされる数多の世界が一瞬にして、光に包まれた。
かくしてこの世界は、キーラの手に落ちた。
戦えるファイターは全滅した。他のものはすべて身体を失い、スピリットと化した。……生き残ったのは、たったひとり。
希望の星は混沌の中で、か細く瞬いていた。
この世界で新たな創世のため、キーラは捕らえたファイターたちを母体としてコピーを作り、ボディを生成した。そして数多の星々で支配下に置いたスピリットの力を使い、ボディを操った。
傀儡軍団の完成である。
キーラは圧倒的な数と力の軍勢をもって、この世界を覆った。
キーラと、キーラによって作られた傀儡の軍勢が覆ったこの世界の中で生き残った、たったひとりのファイターは目の前に広がる果てしない大地を見る。
己が成すべきこと。……いや、己にしか成せないこと。それはスピリットたちをキーラの手から解放し、力を借りること。そして、ファイターの母体を救うこと。
決意を胸に打倒キーラを目指し、生き残ったひとりのファイターは最初の一歩を踏み出した。
傀儡の軍勢に力を貸しているスピリットの中に、七人の半人半魔がいた。
この物語は、スピリットと化した七人がファイターの手によって救われ、様々なファイターたちと邂逅を果たした時のもの。また、キーラの軍勢と激闘を繰り広げた時の記録。そして、同じくスピリットとなっていたものたちと言葉を交わした、ほんの一部の会話である。