──はじめに。
神は天と地とを創造された。
地は形なく、闇が深淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてを覆っていた。
神は言われた。
「光あれ」
すると、光があった。
神はその光を見て、良しとされた。
神はその光と闇とを分け、光を昼と名づけ、闇を夜と名づけられた。
夕べがあり、朝があった。
──第一の日である。
「汝に問う。どちらを求める?」
「私は【光】を求めます」
「そうか。善なる光を志向する、か」
神は言われた。
「水の間に大空あれ。水と水とを分けよ」
神は大空を造って、大空の下の水と大空の上の水とを分けられた。
そのようになった。
神は大空を天と名づけられた。
夕べがあり、朝があった。
──第二の日である。
「汝に問う。汝はどこに安らぎを見いだす?」
「私は【秩序定められた地】にて、安らぎを持ちます」
「そうか。秩序と規律のうちに安らぐ、か」
神は言われた。
「天の下の水は一つ所に集まり、乾いた地が現れよ」
そのようになった。
神はその乾いた地を陸と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。
神はそれを見て、良しとされた。
神は言われた。
「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ果樹とを地の上に生えさせよ」
そのようになった。
地は青草と、種類にしたがって種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ木とを生えさせた。
神はそれを見て、良しとされた。
夕べがあり、朝があった。
──第三の日である。
「汝に問う。汝の得意とすることは幾つだ?」
「私は【二つ】のことを得意としています」
「そうか。安定のとれた、しかし達人には及ばない、か」
神は言われた。
「天の大空に光があって、昼と夜とを分け、季節のため、日のため、年のためのしるしとなれ。天の大空に光があって、地を照らせ」
そのようになった。
神は二つの大きな光を造り、大きい光に昼を治めさせ、小さい光に夜を治めさせ、また星を造られた。
神はこれらを天の大空に置いて地を照らさせ、昼と夜とを治めさせ、光と闇とを分けさせられた。
神はそれを見て、良しとされた。
夕べがあり、朝があった。
──第四の日である。
「汝に問う。汝は農夫、狩人、司祭。どれを好む?」
「私は【狩人】を好みます」
「そうか。弓もて野に獲物を追う狩人、か」
神は言われた。
「水は生き物の群れで満ち、鳥は地の上、天の大空を飛べ」
神は海の大いなる獣と、水に群がるすべての動く生き物とを種類にしたがって創造し、また翼のあるすべての鳥を種類にしたがって創造された。
神はそれを見て、良しとされた。
神はこれらを祝福して言われた。
「生めよ、増えよ、海の水に満ちよ。また鳥は地の上に増えよ」
夕べがあり、朝があった。
──第五の日である。
「汝に問う。汝の身近にある物は何か?」
「私は【多節槍】を傍に」
「そうか。随分と珍しい、それでいて使いこなせば一切を薙ぎ払える、か」
神は言われた。
「地は生き物を種類にしたがっていだせ。家畜と、這うものと、地の獣とを種類にしたがっていだせ」
そのようになった。
神は地の獣を種類にしたがい、家畜を種類にしたがい、また地に這うすべての物を種類にしたがって造られた。
神はそれを見て、良しとされた。
神は言われた。
「我々にかたどり、我々に似せて人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地を這うすべての物とを治めさせよう」
神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。
神は彼らを祝福して言われた。
「生めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」
神は言われた。
「全地のおもてにある種をもつすべての草と、種のある実を結ぶすべての木とをあなたがたに与える。これはあなたがたの食物となるであろう。
また地のすべての獣、空のすべての鳥、地を這うすべてのもの、すなわち命あるものには、食物としてすべての青草を与える」
そのようになった。
神は造ったすべての物を見られた。
それは、きわめて良かった。
夕べがあり、朝があった。
──第六の日である。
「汝に問う。汝はどのような友人を持つ?」
「私は【物静かで落ち着きのあるひと】に覚えがあります」
「そうか。さしずめ、仕事人といった友人、か。──さらに問おう。その友人の名と、外見を」
「金色に輝く甲冑に身を固めた謎多き乙女。名は──マリア」
こうして天と地と、その万象とが完成した。
神は第七の日にその作業を終えられた。すなわち、そのすべての作業を終って、第七の日に休まれた。
神はその第七の日を祝福して、これを聖別された。神がこの日に、そのすべての創造のわざを終って休まれたからである。
──これが天地創造の由来である。
『In the beginning was the Word.』(はじめに、言葉ありき)
「汝に問う。汝の名。汝を汝として在らしめる【ことば】を」
「私の名は────……」
「──…………。ダイナ、か。汝、ダイナよ。その行く手に立ち塞がる障害は数多くあり。なれど、その【ことば】に守られれば、必ずや願うところを成し遂げられるだろう」
『God bless you.』