True enemy

「まず確認を取る。現在時刻は午後7時。髭と初代は先ほど宣言した場所へ進行を開始した。それと同時に図書館組も大学の外へ出るだろう。ここでネロとバージルが指定した人物に電話をかける。……髭、ネロから電話だ。初代はバージルから。出るか?」
「もちろんだ」
「こっちも出るぜ」
「ならお互いに電話で伝え合う情報をこれに書いて、お互いに渡してくれ」
 白紙をそれぞれに手渡し、二代目は不意にダイスを振りだす。

 秘密の結果
 KP シークレットダイス
 ??=??

 KP シークレットダイス
 ??=??

「あっ」
 ダイスを振った二代目が、声を上げた。……あの二代目が、声を上げた。今まで何度もシークレットダイスを振ってきても顔色一つ変えなかった──厳密には気づかれていないだけ──二代目が、声を上げた。
「……おい待て二代目。確実にやらかしただろ」
 先ほどの二代目の背中を見ているおっさんは絶対に良くないことが起きていると察している。しかし、どうすることも出来ない。
「まだだ、まだ希望を捨てるな」
 希望を捨てるなと己に言い聞かせる二代目は明らかに動揺している。その状態でダイスを振るう姿は、今から誰かを地獄へ叩き落すための判定を行っているようにしか見えない。

 秘密の結果
 KP シークレットダイス
 ??=??

 誰もが固唾を飲んで見守る中、二代目がそっとダイス目を確認する。そして普段では絶対に見られない二代目の安堵の表情に、誰もが胸を撫で下ろした。
「良く分かんねえけど……危険は回避したっぽいな」
「一体何をやらかしたんだよ……」
「見ているこっちがひやひやするぜ」
「二代目も焦ること、あるんだ」
 二代目の荒ぶるダイス目への感想もほどほどに、通話している者たちはそれぞれ書き上げた用紙を交換し合う。渡し合ったのを確認した二代目が物語の描写を始めた。

 おっさんからネロへ
 “犬の所在がある程度絞れた。明日、ダイナを連れて聞き込みに行く。最悪犯人と揉める可能性もある。気合を入れておけ”

 ネロからおっさんへ
 “約20年前にデュマーリアニマルクリニック内で治療を受けていた犬が2匹盗まれる事件があった。恐らくこれが聞き込みの答えだ。ただ、この事件が解決されたのかどうかの記載がなかった。最悪、解決されなかった可能性がある”

 初代からバージルへ
 “教会内で有力な情報は手に入れられなかった。ただ、俺の直感だが教会前にいる少女に声をかけるのはやめた方がいい、絶対にだ”

 バージルから初代へ
 “約20年前、午前0時~2時の間にデュマーリアニマルクリニック前の歩道でジャクリーンという女が何者かに殺害された。その時の死体は顔の原型が残らないほどに鋭利なもので引き裂かれていたという。また目撃証言として赤い目というのがあがっている”

──────────────────────

 2000年6月10日午後7時。全ての記事に目を通した三人は途中から姿を見せていた若と合流する。彼から差し入れと渡されたパンをそれぞれ受け取りながら、館内を後にする。そのまま大学の外に出て、ダイナは若に見つけた情報の重要だと思う部分を口頭で伝える。その間にネロはおっさんに、バージルは初代に電話をかける。
 同時刻。ベオウルフカフェ前にて聞き込みを終えたおっさんと初代はそのまま南下し、アラストル警察署を目指す。その途中でほぼ同時に二人の携帯が鳴りだす。着信相手を見れば出ないはずもなく、二人はそれぞれ電話に出る。

『おっさん、昔も犬が盗まれたって事件、あったぜ』
『そうか、よくやった。こっちも6匹の犬を連れてる人間を見たっていう証言を二人から取ることが出来た。……明日には解決できそうだ』
『分かった。……ただその事件、解決されたって内容はどこにもなかったんだよ。それがちょっと、気になるっつーか』
『Hmm. だったら明日はまず、二代目に聞いてみるとしますか。それからでも遅くないだろう』
『……そういやあんた、今どこに……なんだ? どうしかしたのか!?』
『坊や……? どうした! 答えろ! おい、ネロ!』

『俺を保護するだのと言っておいて、結局帰ってこなかったな』
『おおっと、いきなり説教か? それに関しては悪いと思っているが、そんなことのために電話をかけてくるような奴じゃないだろ』
『……情報だ。約20年前にも昨日の事件と同じような死に方をした人間がいるらしい。目撃証言も俺と同じように、赤い目を見たと書いてあった』
『こいつは……きな臭くなってきたな。今こっちは警察署に向かってるんだ。いくつか確認が取りたくてな。ちょうどいい、一緒に調べてくる。……あんた、今日はもう帰っていいぞ。俺が送らないのは悪いと思うが代わりにおっさんを向かわせるから、仲良くな』
『必要ない。癪だが愚弟もいる。頭は空っぽだが荒事には……むっ、なんだ!』
『あ……? おい、何かあったのか? 返事をしろ!』
 同時に通話をしていた二人の耳に聞こえてきたのは誰かが痛みに耐える声。それからよく知る人物の狼狽える声と、生まれて一度として聞いたことのない声だ。
 その声をあえて表現するというならば、早口で鳴く犬のような声……と言えばいいだろうか。何が起きたのかは分からないが、何か良くないことが起こっていることを二人は理解する。それと同時に二人は夜の街を全力で走り出す。
 ──テメンニグル大学を目指して。

──────────────────────

「やばいだろこれ。俺たちどうなるんだ……」
 絶対良くないことが起こっていることが嫌というほどに伝わってくる展開に、ネロは肩をすくめる。
「すぐに描写するから待っていてくれ。ここで謎の声を聞いた二人はSANチェック。成功で0、失敗で1D2。髭は大切な部下の狼狽える声も聞いているからな、心配だろう。……ということで追加だ。成功で0、失敗で1D3」
「二代目が生き生きし始めたぜ。……ここは格好良く決めて、駆けつけないとな」
「ああ。こんなことでビクついてる場合じゃない」

 謎の声
 初代 SAN75
 1D100=40

 おっさん SAN70
 1D100=92

 SAN減少
 1D2=1

 おっさん SAN70→69

 助手の狼狽える声
 おっさん SAN69
 1D100=18

「1回失敗だが最小値だ、問題ない」
「逞しい限りだ。さて、二人は現在ベオウルフカフェ前にいる計算で行こう。ここから全力疾走したとして、テメンニグル大学にたどり着くのに……6分はかかる。合流できるのは6ラウンド後だな」
「6ラウンドってなんだ。どうあがいても間に合わないってことか?」
「そこらは追々説明する。……待たせたな、図書館組の描写に行こうか」
 今日一番に二代目が輝いている。それはもう楽しそうに。今までに見せたことのないほどの不敵な笑みを浮かべて。

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 ネロとバージルの通話が終わるのを待っている間、ダイナと若はお互いの状況を説明していた。
 若は自分の兄が殺人事件の第一発見者になって、疑いの目をかけられていること。たまたま事情聴取をしてくれた警官が気を利かして匿いに来てくれたことなどを。
 ダイナは自分の勤める動物病院から犬が6匹盗まれてしまったこと。それの捜索を探偵である二人に依頼を出したことを話していた時“それ”は起きた。
「いっ──! あっ……うぁ……!」
 本当に突然だった。急激な激痛が肩に走る。あまりの痛みに、涙が頬に伝う。
「ダイナ!? どうした! ……なん、だ、お前……!」
 急に彼女の様子がおかしくなり、どうしたと声をかけながらダイナの後ろを見た若はその目で捉える。そして、それを見間違えることは絶対にないだろう。何故なら“それ”は、大学内から漏れ出す光で照らされているのだから。
 ゴムのような弾力のある皮膚。かろうじて二本足で立っていると言えるほどに前屈みな姿勢。そして何より特徴的なのは顔。その顔は人の様でありながら、犬と言ったほうが伝わる特徴をいくつも持っている。
 垂れた耳に平たい鼻。ぎらつく赤い目と獲物を引き裂くための八重歯。口元には赤い液体に混じって噛み千切られた肉片が見て取れる。
「なんだ? どうしかしたのか!?」
「むっ……なんだ!」
 若の騒ぎ声を聞いた二人もその異様さに、通話をしていたなんてことは忘れてしまうだろう。見てはいけない──存在しているということを認知してはいけない、生き物と称していいのかさえ躊躇われる生物がそこにいるのだから。
「一体、何……っ!?」
 痛みを堪えて振り返ればダイナも目撃してしまう。その醜悪な姿を晒し、口から赤い液体と噛み千切った肉片を涎と共に垂れ流す姿を。

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「食屍鬼──グールを目撃した四人はSANチェックだ。成功で0、失敗で1D6。ダイナと若は食屍鬼の口についている肉片が誰のものか知っているからな。成功で1、失敗で1D8だ。……ちなみにダイナは背後から奇襲を受けた。HPを3減らしておいてくれ。後ダイナとバージルは<アイデア>も頼む」
「怒涛だな」
「一番耐久のないダイナがダメージ受けるってきついぞ……」
「本物の化け物が出て来たな……。これがクトゥルフ神話TRPGってことか」
 この現場へ猛ダッシュで向かっている初代とおっさんは、完全にやってしまったと申し訳なさそうだ。せめてどちらかがダイナについておくべきだったと今更になって考えるが、後悔先に立たず。
 今回採用されたクトゥルフ神話TRPGとは、この世に本来存在しないとされる神話生物と、生身の人間が出会うことが出来るかもしれないという何とも素敵な内容の作品となっている。今彼らを襲った食屍鬼というのは、まさにその冒涜的な神話生物ということだ。

 食屍鬼に噛みつかれた
 ダイナ HP10→7

 見てはいけないものを見た
 ダイナ SAN55
 1D100=92

 1D8=7

 ダイナ SAN55→48

 ネロ SAN62
 1D100=64

 1D6=6

 ネロ SAN62→56

 若 SAN60
 1D100=39

 若SAN60→59

 バージル SAN70
 1D100=14

 何に閃く?
 ダイナ アイデア65
 1D100=01

 バージル アイデア80
 1D100=77

「うわあ……」
「阿鼻叫喚だな……」
「待て、ダイナ……お前……」
 まさかここでクリティカルの中のクリティカル──通称1クリ──が来るとは思っておらず、二代目が言葉を詰まらせた後、思考を放棄する。
「えっ、クリティカルって、いいことじゃないの」
「基本的には、な」
「あ、これ気づいちゃいけなかったタイプの奴……」
 本当に、彼女の出目はどうなっているのだろうか? 明らかに二代目を苦しめるためにはっちゃけているようにしか見えない。
「温情を……かけてやりたかったのだがな。<アイデア>に大成功したダイナは確信を持つ。この食屍鬼は自分が探していた犬に間違いない、と。鼻の形、垂れた耳、目の色は違うが大きさや輪郭など、絶対に探していた犬の1匹だと分かる。……そして分かってしまったダイナはその犬がこのような醜い姿になったことも同時に理解する。追加だ。成功で1、失敗で1D6のSANチェック。バージルの成功情報は、昨日見た赤い目とこの化け物の目が同じものであると気づく」
「こいつが犯人か。ダイナは……救いようがないな」
「ダイナ……。俺ら、ダイナの分まで頑張るから……」
 踏んだり蹴ったりとか泣きっ面に蜂とか、ことわざでは言い表せないほどに悲惨な目にあっている彼女を助けられないと悟った若が、ダイナの肩を優しく叩く。バージルも即行で見捨てる発言をしているあたり、救いは本当にないだろう。
「……私、何もしてない」
 確かにダイナは何もしていない。終始ダイスの女神に弄ばれ続けているだけだ。

 ダイナ SAN48
 1D100=13

 ダイナ SAN48→47

「耐えた……だとっ……」
「良かった……! 本当に……!」
 不定の狂気入りだと思っていた二代目が驚いている。だが、彼女の苦難はここで終わらない。
 実は、SAN値が一度に5以上減少すると<アイデア>判定を行わなくてはならない。それに成功してしまうと一時的狂気という、身体に異常をきたすことになる。また、KPが指定した区間中に現在SAN値の五分の一を失うと不定の狂気となり、判定を挟むことなく確定で身体に異常をきたすのだ。
 ということで、ダイナはごっそりとSAN値が消し飛んだネロと一緒にダイスを振る。

 発狂はクトゥルフの華
 ダイナ アイデア65
 1D100=67

 ネロ アイデア70
 1D100=69

「そしてここで外すとか……マジでどうなってんだ……」
「俺が発狂したんだけど……」
「もう、どうにでもなっていいかなって……」
 ダイナが神回避を見せた結果ネロがギリギリで成功してしまい、めでたく発狂だ。……彼女の出目? 運が良いとか悪いとかで語れる範疇を超えている。
「現場に着いたら狂った助手を見る羽目になるとか、おっさん泣き崩れるぞ」
「本当にな。たどり着くまでに発狂だけは何とかしておいてくれ」
「発狂内容を決めようか。ネロ、1D10の後に1D10+4を頼む。後は初の発狂ということで<クトゥルフ神話技能>を+5してくれ」
「振りたくねえし、いらねえ……」
 嫌だと駄々をこねても結果が結果なので仕方ない。渋々ダイスを振ると……。

 どんな症状?
 1D10=5

 極度の恐怖症

 期間は?
 1D10+4=8+4=12

 12ラウンド

「症状自体は難しいものではないな。ただ12ラウンドか。今回の戦闘にはほぼ参加できないな」
 <精神分析>が決まれば十分復帰は可能だが、失敗したら恐怖に震えて動くことの出来ないネロをおっさんが見ることになるだろう。
「絶対正気に戻してくれ。そんな情けないところ、おっさんにだけは見られたくねえ」
「なんだ坊や。恥ずかしがるなよ」
「あんたが見たら絶対笑いものにするから嫌なんだよ!」
 現在進行形でニヤニヤしているおっさんの顔をぶん殴りたい衝動を抑えているネロの方がよっぽど大人だ。さて、せっかく発狂したということでRPを挟んだ後、戦闘に入ることになった。

──────────────────────

「若ッ──! 下がれ!」
 バージルは気づく。この化け物こそが昨日見た赤い目の持ち主であると。
「俺はいい! それよりダイナが怪我をしたみたいなんだ!」
「チッ。ネロ、お前の保護対象だろう。そっちの処理はお前が……ネロ? おい!」
 普段から荒事に慣れているからか、兄弟は化け物を見ても動揺することなく臨戦態勢を取る。一方でダイナは化け物を凝視し、そして確信に至る。
「ネロさっ……こ、これ……犬、です。わ、私たちが探して、る……」
 自分でもあり得ないことだと、非現実的なことを言っていると理解している。それでも、この化け物が自分が探していた犬であるということも脳が理解しているのだ。これを伝えずにはいられなかった。
「あっ……あっ……」
 ただ、今のネロにその声は届いていない。……ダイナの声だけではない。バージルの声も、友人である若の声でさえ、今の彼には届かないだろう。
 彼の瞳に映るは醜悪を晒す食屍鬼、ただそれだけだ。

──────────────────────

 良いRPを見終えたということで戦闘開始だ。まずはDEXが高い順から行動できるののだが、同値がいる場合は1D100を振って出目が小さい順から行動する。

 誰から行動?
 ダイナ DEX12
 1D100=19

 ネロ DEX12
 1D100=52

 食屍鬼 DEX??
 1D100=??

 今回はバージル→ダイナ→食屍鬼→ネロ→若という順番になった。
 まずは1ラウンド目のバージルからだ。
「攻撃を宣言。対象は食屍鬼。<日本刀>で抜刀術だ。使用武器は無論、閻魔刀」
「了解だ。振ってくれ」

 全て斬りふせる
 バージル 日本刀80
 1D100=42

 ダメージ
 1D10+2+1D4=1+2+2=5

 食屍鬼 回避??
 1D100=?? 失敗

 HP??→??

「バージルの抜刀は見事に決まる。だがあたりが浅かったようだ、食屍鬼が倒れる気配はない。次、ダイナ」
「ネロに<精神分析>」

 正気に戻って
 ダイナ 精神分析71
 1D100=82

「知ってた」
 期待をしていなかったわけではない。が、ダイナは外すだろうなと予想していたネロは諦めモード。いたたまれなくなったダイナは両手で顔を覆い、本当にごめんなさいと小さな声で何度も謝るのだった。
「次はネロだが、極度の恐怖で身体が強張っているだろうから行動不可だ。ということで食屍鬼の行動。攻撃対象はダイナ」

 当たれば痛い
 食屍鬼 かぎ爪??
 1D100=?? 失敗

「かすることもなく、ただ空を切ったな。最後、若」
「<MA>と<キック>だ。対象はもちろん食屍鬼だぜ」

 殺人キック
 若 キック80
 1D100=59

 若 MA80
 1D100=29

 ダメージ
 2D6+1D4=4+4+3=11

 食屍鬼 回避??
 1D100=?? 大成功

「むっ……悪いな若。カウンターだ」
「二代目、こんな時まで頑張らなくていいって……」

 カウンター攻撃
 食屍鬼 かぎ爪??
 1D100=?? 失敗

 若の攻撃は避けられてしまったが、手痛いしっぺ返しまでは食らわずに済んだ。だがここで彼らは気づく。KPの出目こそが最大の敵なのでは、と……。
 一巡したので2ラウンド目に突入する。
「……確か<精神分析>は一つの事象に対して一人一回しか施せないんだったな」
「ああ。だからダイナはネロの発狂に対して<精神分析>はもう振れない」
「ならば仕方あるまい。一か八かネロに<精神分析>」
「バージル……」
 まさかこんなところで熱い親子の絆が見れるとは……。なんて、誰一人として思うわけがない。手数が欲しいからネロを正気に戻したいというバージルの魂胆など見え見えだ。

 正気に戻れ
 バージル 精神分析34
 1D100=52

「流石に無理か」
「挑戦してくれて……その、ありがとな」
「どこかのバカが外さなければ、こんなことにはならなかったのだがな」
 顔を覆い隠している人物がゆっくりとその手をどけ、申し訳なさそうにしている。さあ、次はその問題児の行動だ。
「<組み付き>……かな」
「<医学>で自分の傷を治してもいいんじゃないか?」
 そういえば自分は怪我をしていたんだと、今更になって思い出すダイナ。さっきの迫真の演技は何だったのか……。ということで<医学>を宣言だ。

 いたいのとんでけ
 ダイナ 医学70
 1D100=95

「ダイナ、実は天才だろ」
「どうしよう。心が折れた」
 これにはもう笑うしかない。一体何をどうすればここまで外せるのだろうか。他者の傷を自分に移すのではなく、悪運を吸収する能力の間違いではなかろうか。
「ここまで決まらないことを想定していなかった……。ネロを飛ばして食屍鬼。狙いはダイナだ」
「……なあ、攻撃対象ってKPが好きに決めるものなのか?」
 執拗なダイナ狙いには何か意図があるのか疑問に抱いた若が質問する。それに対して二代目は若に<アイデア>を振る許可を出した。

 どうしてダイナばかり?
 若 アイデア60
 1D100=98

「急に出目がひどくなりだしたぞ」
「若は何も気づかなかったな。それどころか、疑問なんてこれっぽっちも感じなかったようだ」
「あー、これは情報共有できない奴だな……」
 普通の失敗だったなら他の仲間に伝えて代わりに振ってもらえばいいが、元から思いつかなかったことにされてはそもそも伝えようという考えにも至らないだろう。なにせ、思いついていないのだから。
 完全に蚊帳の外であるおっさんと初代は早く終わらないものかとお菓子をつまみだす。ネロも<精神分析>がダメだった以上、ただただ時間経過を待つしかない。

 当たれば痛い
 食屍鬼 かぎ爪??
 1D100=?? 失敗

「こちらはまたしても空振りだな。……まさか、戦闘がこうも長引くとは想定していなかった」
 戦闘要員であるバージルと若がいればすぐに終わると思っていたのが運の尽き。やはりダイスを転がすということは、何が起こるか分からないものだ。
「次こそ決める! <MA>と<キック>で食屍鬼に攻撃!」

 殺人キック
 若 キック80
 1D100=86

 若 MA80
 1D100=84

「両方外すとか……ダイナが乗り移ったか?」
「私を悪霊みたいに扱うの、やめよう」
 気合もむなしく空振りという結果に。さあ、3ラウンド目だ。
「<日本刀>で斬る。対象は食屍鬼。閻魔刀使用だ」

 全て斬りふせる
 バージル 日本刀80
 1D100=84

「惜しいな。食屍鬼の真横をかすめた」
「Scum.」
「これ、俺たちが到着するまで永遠とやってる可能性出て来たぞ」
 お菓子をつまむ手を止めずにだらけているおっさんが愉快そうに見ている。戦っている側は必死なのだから、おっさんの態度は腹立たしいことこの上ない。セッション中でなければ間違いなく幻影剣と銃弾の嵐だろう。
「私……することないから<組み付き>」
 ダイナの持っている技能はどれも1つに対して1度までしか使用できないものばかり。ということで組み付くことに。

 触れたくないけど
 ダイナ 組み付き50
 1D100=09

「成功か。ならここから組み付き続けられるかどうかSTR対抗だ」

 抑え込めるかな?
 ダイナ STR対抗[50+(9-14)×5]% 目標値25
 1D100=54

「うん。<組み付き>が成功したことだけでも、奇跡みたいなものだから」
 誰もその言葉を否定できないところが現実を物語っている。残念だがSTR対抗に失敗したので振りほどかれる。次は情けなくも動けないネロを飛ばして、食屍鬼のターン。もちろん狙いはダイナだ。

 当たれば痛い
 食屍鬼 かぎ爪??
 1D100=?? 失敗

「ダメだな」
「これさ、二代目も全然成功しないってことは、相当成功率低いよな」
 本来こんなに時間のかかるものではない。そんな言葉が二代目の喉元まであがってきているが、それを言えばネロの予想を肯定してしまうことになるのでぐっと我慢だ。
「早く終わらせて合流しようぜ。俺も菓子食いてえ。<MA>と<キック>で食屍鬼に攻撃」
 もはや本音だだ漏れの若。この戦闘が終了したら休憩を挟もうと二代目は決意する。

 殺人キック
 若 キック80
 1D100=71

 若 MA80
 1D100=98

「だからなんなんだよ!」
「また処理に困る結果を出してくれたな」
 二代目すら本音が口から出ている。どうしたものかとほんの少し悩んだ後、すぐに答えを出した。
「ダメージを半減ということにしよう。1D3+1D2でダメージ判定だ。……その後に食屍鬼の回避判定を挟むぞ」

 ダメージ判定1D3+1D2=2+1=3

 食屍鬼 回避??
 1D100=?? 失敗

 HP??→??

「若の蹴りは当たったものの、位置取りが悪かったせいで手ごたえはあまりなかったな」
 4ラウンド目に突入。さあバージルよ、これで決めてくれと、誰もが願っている。
「……<日本刀>、閻魔刀で斬る」

 全て斬りふせる
 バージル 日本刀80
 1D100=46

 ダメージ
 1D10+2+1D4=8+2+4=14

 食屍鬼 回避??
 1D100=?? 失敗

 HP??→??

「バージルの振り下ろした斬撃に耐え切れず、食屍鬼は綺麗に真っ二つだ。……そして2つに分かれた身体は砂へと変わり、何も残らなかった。……戦闘終了だ。恐怖の対象となっていた化け物が消えたことにより、ネロの一時的発狂もなくなる」
「なんだ。坊やの発狂している姿は見れなかったか」
「助かった」
 醜態を晒さずに済んだと一安心のネロ。時計を見れば夕飯時の時間ということもあり、ここで一旦区切って休憩という名の食事を取ることに。食後は食屍鬼を倒した後の描写と、そんな彼らの元に初代とおっさんが駆けつけるシーンからだ。

 夕飯をみんなで囲みながら話す話題と言えば、もっぱら今日のTRPGだろう。シナリオの今後の展開が気になるのも然ることながら、やはり一番の懸念材料はダイナの出目だろう。
「ダイナって、俺らより運悪かったんだな」
「運が悪いっつーか……なんでそんなに上下が激しいんだ」
「私に聞かれても、答えられない。後、一番困ってるのは私だから」
 なんでとかどうしてとか疑問を投げかけられても、ただダイスを振っているだけなのだから答えなんてあるわけない。しかも彼女の恐ろしいところは、ほとんど出目が高い中で突然に一桁を出すのだからKP泣かせもいいところだ。
「俺はダイナに何か恨まれるようなことをしただろうか」
「私が二代目を恨むなんて、絶対ない! ない、けど……その、ごめんなさい……」
 恨み言なんてあるわけないが、結果的に二代目を苦しめまくっているので謝罪するしかない。落ち込むダイナに冗談だといい、どんな結果でもいいから今後も積極的にダイスを振ってくれと二代目は頼む。
「しかし、戦闘は長引いたな」
「1匹相手するのにこんな調子で大丈夫か心配だな。最低でも後5匹いるんだろ」
「──はっ?」
 おっさんの後5匹いるという発言に疑問の声を漏らしたのはネロ。殺人事件の犯人だと思われる人間……というか化け物も屠ったし、犬の居場所もおっさんがほとんど特定している。なら後は犬を盗んだ犯人を捕まえたらハッピーエンドではないのか?
「ダイナの<アイデア>クリティカルはSAN値を直葬させかけたが、決して無駄ではなかったさ。……言ってただろ。探していた犬が化け物になったのを確信した……ってな」
「……そうか! 盗まれた犬が何かしらの方法で化け物に変えられていて、その化け物が人を殺して回ってるのか。じゃあ、その真犯人を捕まえないと解決しないってことか」
 ようやく事件の全貌が見えてきたとみんな楽しそうに、シナリオの終末をああでもない、こうでもないと話し合っている。問題として、PL視点では情報が出揃っているが、PC視点ではその情報をお互いがバラバラに持っているせいで事件の全容が見えていないということ。合流したら、まずは全部報告しあわないといけないということで全員の意見が一致し、早く続きを始めたいということで急いで食事を終わらせるのだった。
 食器も片付け終え、テーブルが広く使えるようになったところでセッション再開。取りあえず全員集合のシーンから。……の前に、ルールブックを確認していた二代目からバージルに謝ることがあるとか。
「先ほど確認したのだが、どうやら<精神分析>は1つの件に対して1度までのようでな」
「つまり、本来は振れなかったと」
「そういうことになる。……すまない、つまらないミスをした」
 別に構わんと幻影剣を1本お見舞いしながら気にしていない様子のバージル。……いや、気にしているのか? どっちだ。とにかく気を取り直してシナリオを始めよう。

──────────────────────

 2000年6月10日午後7時6分。全速力でここまで走ってきたおっさんと初代は息を切らしながらテメンニグル大学前に着く。そこには閻魔刀を鞘から抜いているバージルの姿が一番に目に入るだろう。他には尻餅をついて震えているネロ。肩から血を流すダイナ。そんな二人にしっかりしろと声をかけている若の姿も見て取れた。
「お前たち……! 無事か……!」
「おい坊や! 何があった、しっかりしろ!」
「ッ──初代、か。……遅い」
 殺気立っていたバージルは声に反応して閻魔刀を向けるが、それが自分を匿ってくれていた初代だと気づき、閻魔刀を鞘に納める。一方おっさんは座り込んでいるネロに大丈夫かと声をかけながら、若と協力して立てるように手を貸した。
「わ、り……。俺、依頼主……守れなく、て……それで……」
「落ち着け、俺がいる。もう大丈夫だ」
「あ、ああ……」
 いなくなったと分かっていても、先ほどのことを思い出そうとするだけで震えが止まらない。ネロに話を聞くのは厳しいと判断したおっさんは若とバージルに問いかける。──何があったのかと。
「昨日見かけた殺人犯とひと悶着した。……真っ二つにしたら塵一つ残さず消えたがな」
「ま……待て待て、人間を切ったのか!?」
 淡々と答えるバージルの発言に焦るのは初代。いくら正当防衛であったとしても、やりすぎだと流石に豚箱行きだ。
「いやそれが……人間じゃなくて、その……化け物だったっていうか……」
「化け物? 人が被り物をしてたとかじゃなくてか?」
 若とバージルはどう説明したものかと困り顔だ。自分たちだって、目の当たりにしたからこそ先のことは現実だったのだと理解しているが、もし自分がおっさんや初代と同じ立場だったとしたら、何言ってるんだと一蹴してしまうだろう。
「すまないお嬢ちゃん。危険な目に合わせるどころか、怪我までさせちまって……」
「い、え……。覚悟は、してました、から……」
 抉られた傷口は見るだけで痛々しい。それでも泣き言一つ言わないのは彼女の精神力の賜物か。
「二人は化け物を見たって言ってるが……お嬢ちゃんも見たのか?」
「……見ました。あの、こんなこと言っても信じてもらえないですけど、私たちが探してる犬が、化け物になっていたん……です」
「犬が化け物に……か。坊やもその化け物を見て、腰を抜かしちまったんだな?」
「本当に、悪い……。俺、何にもできなかった。……若も本当にありがとな。守ってくれて」
「当たり前だろ。つか、用心棒してて良かったって思う。大事な奴ら、守れたし」
 二人の手を借りながらようやく立ち上がったネロはダイナの傍に行き、申し訳なさそうに何度も謝罪した。
 その傍ら、バージルが化け物を真っ二つにしたという場所を教えてもらった初代が辺りを調べるが、本当に争ったのか疑わしいほど、そこには何も残っていない。
 ……そう。死体はおろか、血の一滴も見つけることは出来ない。ただ落ちているのはダイナが流したであろうものと、彼女が引きちぎられた肉片だけだ。これを他の警官に知らせたところで、ますますバージルの疑いが濃くなるだけだ。本当はしてはいけないことだが報告はせず、これ以上夜に出歩くのは危険だと判断した初代は全員で固まって、近場の者から家に送るよう提案するのだった。

──────────────────────

 どういう条件で襲われたかは分かっていないが、夜の街は危険だと身をもって知ったので全員で固まって家に帰ることに。現在位置から一番近いのは誰だと二代目に聞けば、少し待ってくれと自分で書いた地図を見ながらよさそうな位置をいくつか示す。
「かなり大雑把になるが、初代が警察署前の道路を挟んだ前辺り。ダイナが動物病院の右側。兄弟は事務所と教会の間でいいか? ……正直、重要になるとは思ってなかったから決めてなかったんだが」
「変に職場から遠いってのも大変だし、そんなもんでいいだろ」
 こうなってくると初代だけはどうしても一人で帰らざるを得ない。とはいえ職業は警官だ、一番生き残る確率も高いだろう。
「帰る前にダイナの手当てって、してやっていいか? 何も出来なかった挙句、依頼主のダイナに怪我を負わせたってこと、絶対気にすると思うんだ」
「構わないぞ。<応急手当>で振ってくれ」
「二代目、私の持っている救急セットって、何か役に立つ?」
「そういえば持っていたな。……ネロに渡すなら+20%の補正をつけよう」
「だったら俺も<応急手当>してみますか」
「道具は1つしかない。補正を受けられるのはネロのみだ。それと初代は<オカルト>を振っておいてくれるか」
 頼まれた初代と自分たちから提案した三人で判定を行うと……。

 いたいのとんでけ
 ネロ 応急手当30+20 目標値50
 1D100=53

 おっさん 応急手当30
 1D100=01

 回復値 クリティカルにより最大値
 1D3=3

 ダイナHP7→10

 犬が化け物になると聞いて
 初代 オカルト60
 1D100=30

「俺、役に立ってねえ……」
「これは髭に運気を吸われたな。クリティカル恩恵だ、最大値回復でいい」
「おっさん、ありがとう。ネロも試してくれて、嬉しかった」
 最初の方はかなり調子が良かったのだが、ここにきてネロが不調に。おっさんに関してはダイナに次ぐクリファン要員なので、今後の反動が心配だ。そんな中安定して成功をもぎ取っていく初代が、KPを務める二代目にとって唯一の味方だ。
「<オカルト>に成功した初代は、犬が化け物に変わってしまったという話を嘘ではないと考えるだろう。この世の森羅万象を理屈や理論で説明できないことがごまんとあることを知っているからこそ、もしかしたらそういったこともあり得るのではないか、と」
「となると、俺は警察署に戻って過去の事件と今回の事件の関連性を洗い出す作業か。とはいえ、これは明日の朝だな」
「こっちは明日の朝一で二代目院長に報告だな。犬が化け物になりました、なんて信じてもらえないだろうが……まあ、白い目で見られるのはダイナだけだし、いいだろ。それより過去にも盗まれたことがあるのを黙っていたこと、喋ってもらわないといけないからな」
「俺たちは帰るぞ。特にすることもない」
 全員が家に帰って明日の朝を待つ、という方向で固まった。長かった1日がようやく幕を下ろすようだ。

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 2000年6月10日午後7時30分。互いの状況確認や傷の手当てなどを終えた一行はそれぞれの家に足を延ばす。初代だけ道が違うので、ここでお別れだ。
「気をつけろよ」
「何かあったら電話する。……バージルに若、すまなかったな。巻き込んじまって」
「いいって。むしろネロとダイナを守れたんだ。俺はそれで満足してる」
「証拠は何も残らなかったが、俺の無実は証明できるか」
「……正直なところ、この事件はお蔵入りになるだろうな。ただまあ、もう死人が出ることはねえだろ。しばらくの間は警官がうっとうしいと思うが、何かあったら言ってくれよ。俺の方から出来る限り制御はかけてみる」
「仕方あるまい。その時はこき使ってやろう」
「お手柔らかに頼むぜ」
 きっかけは決して明るいものではなかったが、こういった縁が人と人を結びつけるのだろう。そんな風に思いながら初代は家に帰る。
 2000年6月10日午後7時50分。何事もなく家についた初代は身の回りの世話をした後疲れたのか、泥のように眠りについた。
 初代と別れた後、次に家に着くのはダイナだ。
「お嬢ちゃん。明日は朝一で二代目院長に謝りに行きたいと思うんだが、何時に行けば会える」
「普段なら午前9時から開館しています。今は休館中だけど、治療を任されている動物たちがいるから、出勤はしているはず。……私は、どうしたらいいですか?」
「明日、ここまで迎えに来るさ。……今日はこんなことがあったんだ。絶対に一人で出歩くなよ」
「分かりました。今日は本当に、ありがとうございました。明日もよろしくお願いします」
「ああ。次は絶対に離れない」
 明日の約束を取り付け、ダイナが家に入ったのを確認してから探偵と兄弟は自宅に向かう。
 2000年6月10日午後7時50分。探偵たちに見送られたダイナは家に入り、鏡で自分の姿を確認する。噛みつかれたであろう肩の傷はおっさんのおかげで綺麗に手当てされている。動物とはいえ医療に携わっている自分でさえ驚くほどの手際の良さを見せられては、自分ももっと努力を重ねなくてはと思うほどだ。そんなことを考えながら彼女も食事を取り、濡れタオルで身体を拭いた後、夢の中へまどろんでいった。
 最後はバージルと若。お互いに探偵の知り合いがいるということは知っていたが、まさかその探偵同士がオーナーと助手という関係だったことを今日知った彼ら。さらに話を聞けば、おっさんと初代も旧友だとか。これには世界というのは意外と狭いものなんだと実感させられる。
「何かあったらまた頼らせてもらうぜ、バージル」
「俺は作家だ。好きで荒事をしているわけではない。……もっとも、降りかかる火の粉は払うがな」
「その意気やよしだ。しっかし、バージルの弟が坊やの友達だったっていうのには驚きだな」
「それはこっちの台詞だ。若の兄貴がおっさんと知り合いだったとか、思ってもみなかった」
「なんか、知らないところで繋がってるもんなんだって感じたぜ。ネロは明日も仕事か?」
「ああ。まだ犬の捜索が終わったわけじゃないからな」
「ダイナが言うには、その探してる犬がさっきの化け物になってたってことなんだろ? なんかあったらすぐ呼べよ。駆けつけるから」
「本当はいけないことなんだろうけど、その時は頼むかもしれねえ。俺もおっさんも一応戦えないことはないけど、やっぱ若と比べると劣るし」
「俺はそれで食ってるからな。そこらの奴に負けてたら話にならねえよ」
 雑談もほどほどに兄弟は家に入っていく。それを確認した探偵組も自分たちの事務所まで向かう。
 2000年6月10日午後8時。特に何事もなく家に着いた者たちもするべきことを済ませ、就寝する。明日からまた頑張れるよう、英気を養うために。

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「これで1日目は終了だ。2日目だが、朝にしたいことはあるか? 宣言がなければこちらの指定時間から始める。ただ、あまりにも早い時間だときちんと睡眠がとれていないということで補正を入れるが」
 朝にしたいことと聞かれ、何かあるだろうかと相談が始まる。
「俺たち探偵は9時に迎えに行くって伝えてあるし、そこまで飛ばしてもらっていいぞ」
「私も出歩くなって言われているし、昨日あんな目にあったから出ない」
「俺も……今日はネロから呼び出しがあったらいつでもいけるように準備するぐらいで、家にいるな」
「髭に呼ばれる可能性があるなら、俺も待機だ」
 探偵組は二代目院長に昨日の報告をして、2日目が本番だ。ただ兄弟に関しては正直昨日で犯人をとっちめたようなものなので、出番はないだろうなんて話している。
「ちなみに指定時間は?」
「朝8時の予定だ」
 初代はどうするか悩んでいるようだったが朝8時なら別段遅くもないということで、全員指定時間まで飛ばすことを了承した。
 2日目は一体どんな1日になるのだろうか。今から楽しみである。ちなみに、おっさんの<いいくるめ>のマイナス補正もこれで終了。そして1時間以上の経過が認められたので、不定の狂気もリセットが入るのだった。