Encounter with astronaut

つい先ほど、新たなファイターをキーラの手から救出した。随分と小柄な彼はオリマーというそうで、かなりの小心者だった。
失礼な話ではあるが、よく彼のようなものがファイターになれたものだと思うものは少なくないだろう。初代も同じことを思ったようだったが自分のことはさておいて、ダイナには顔に出すなよと言った。ダイナも考えなかったわけではないが、危険への嗅覚が優れていると見方を変えれば、大切な力の一つでもあると思った。
それでもやはり、心配がないとは言えないのが心情ではあった。最も、こればかりは本人の性格である以上、他者が口を出すことではない。
オリマーへの感想もそこそこに、彼には不思議な生き物が付いて回ることに目を向けた。
赤、青、黄、紫、白の五色からなる生き物たちは頭に葉っぱを生やし、誰よりも小さな生態でありながらみんなで力を合わせて何でも運んだり、自分よりも遥かに大きな生き物たちに立ち向かう勇敢さを持っていた。
小さな五色の生き物はピクミンというそうだ。それぞれに特徴があるようで、赤ピクミンは火に強かったり、青ピクミンは泳げたり、白ピクミンは体内に毒を持っていたりするという。
また、しっかりと観察してみると少しずつ体の形も違うことが見て取れる。赤ピクミンは身体の割には高い鼻を持ち、黄ピクミンは長い耳が特徴的だ。紫ピクミンはまるまると太っており、少し足が遅い。どのピクミンたちも喧嘩をすることは無く、オリマーの後をついて行動する。まるで親鳥を追いかける小鳥のようだ。
オリマーの後を追いかけるピクミンたちは確かに愛らしさがあるが、ピクミンにとってはオリマーこそが生命線だ。単体では決して強くないため、オリマーの指示を元にピクミンは行動する。当然、外敵に食べられたり、潰されたりして数多の命が散る。それでも戦わなくては自らが生き残ることも、まして子孫を残すことも叶わない。
だからピクミンたちは今日も運び、戦い、増え、そして食べられる。まさに食物連鎖の中を生き抜く一つの種族なのだ。
ピクミンという生態をオリマーから聞いた時、ピクミンたちがオリマーを慕う理由を少し理解できた気がした。オリマーはピクミンという謎の生命体に出会い、持ちつ持たれつの関係で共に行動することとなったそうだが、ピクミンたちのことを良く知るために日記やメモを認めていた。
相手のことを知るために、出来ることから努力を重ねるオリマーの姿はとても好感が持てる。これも危険を減らすためへの勘の鋭さなどに繋がるのかと、ダイナは感心した。
今日もきっと、たくさんのピクミンたちが新たな子孫を増やすために餌を運び、命と途絶えさせないように外敵と戦い、仲間を増やし、そして様々な要因で命を散らすのだろう。
ピクミンたちは毎日を必死に生き抜いている。それは自分たちにも必要な心構えだ。小さくもたくましいピクミンたちと、それを率いるオリマーに大切なことを学ばせてもらった。
彼らは間違いなく、ファイターに相応しい者たちだ。
「今でも私が目を合わせると、怯えられるのは少し寂しいけど」
「助けた初っ端に、知らなかったとはいえピクミンたちを踏みつぶしちまったからな」
悪気はなかったのだがオリマーを助けてすぐの時、彼の後ろについて歩くピクミンのことが目に入らなかったダイナはオリマーに怪我がないかを確認するために近付いた際、ピクミンを何匹が踏み殺してしまったのだ。
象は歩くときに蟻を潰さないようにすることは難しいというが、まさにその言葉を体現してしまったことになってしまった。以来、オリマーはダイナを見ると怯えるようになってしまった。
被害を受けたピクミンたちはというと、踏まれてしまうことは仕方ないことだと割り切っているのか特に気にしている様子は無く、別段ダイナたちに怯えることはない。それどころか、好奇心旺盛なために自ら近づいて来ることもあるほどだ。
大変に申し訳ないことをしてしまったとはいえ、いつまでも引きずるわけにはいかない。ピクミンたちには最大の配慮をしながら、他のファイターたちと共に先を急ぐのだった。