ベッドの上。状況としては、緑間に覆い被さられている。
「あの……お仕置きって、私何か、悪いことをしたでしょうか……?」
どうやら、ララクの中では「お仕置き=悪」という考えらしい。
……その思考は、あながち間違いではない。が、今は少し、意味合いが変わっているだろう。
「そうだな。ある意味、悪いことをしたのだよ」
「ご、ごめんなさい……」
自分が何をしたのかは分かっていないが、緑間から目を逸らし、小さな声で謝る。
「謝るだけでは済まない事もある、といことをその身体に、しっかり教えてやるのだよ」
「え!? い、痛いのは嫌です!」
ララクは目を閉じ、怖がっている。
「……どうしてこう、うまくいかないのだよ」
そっとララクの上から降り、ベッドの端に腰を下ろす。
「……? どうしたんですか、真太郎さん」
ララクはよく分からないまま起き上がり、緑間の太ももの上にちょこんと座る。緑間はそれをそっと、抱きしめる。
「あ、そういえば、真太郎さんにお聞きしたいことが」
「言ってみるのだよ」
「その、恋人同士と言うものは、キス以上のことをするって、本当なんですか?」
それを聞いた緑間が、ララクの顎を持ち上げる。
「な、なんですか? ……んっ! ふぅ……あ……んっ……ぷぁ」
いつもと違うキス。
「はぁ……ん……」
ララクは頭がボーッとし、変な感じになる。このキスをされると、終わった後も甘い声がつい出てしまう。
好きな人の前だから、というのも、あるのかもしれない。
「本当に自覚がないというところが、いろいろと辛いものなのだよ」
「真太郎さん、さっきから難しい顔ばかり……。私にできることがあれば、言ってくださいね?」
「出来ること……か。そういえば、まだハロウィンで、オレからお菓子をあげていなかったな」
そう言って、緑間はポケットから飴玉を一つ取り出した。
「くれるんですか? ありがとうございます!」
嬉しそうに飴を受け取ろうとする。と、緑間が自分の口の中へ入れてしまった。
「あーっ! ひ、ひどいです! 目の前でそんなことするなんて……!」
まさかの展開に、ララクは激怒。畳みかけるように、さらに言葉を並べる。
「緑間さんの意地悪! もう知らないんんんっ!? ふっあ……はぁ……ん! んん……ぁ」
またキスをされたかと思えば、飴玉が口の中にある。
「あ……あの、これ」
「こうすれば、2人ともお菓子を食べたことになるのだよ」
「真太郎さん……。大好き!」
ぎゅっと抱き着く。緑間はもう我慢できないといった感じで、ララクを押し倒す。
「今日の真太郎さん、すごく積極的です……」
少し顔を赤らめながら、ララクは困ったような、それでいて恥ずかしそうにしている。緑間にとっては、そんな仕草すら愛おしく思うわけで。
「ふぁ! んんん……あぅぅ!? んぁ、は……ひうぅ……あ、あっ……!」
何度も角度を変え、濃厚なキスを交わす。飴玉を転がし、転がされ、ララクは翻弄されていく。それでもなお、ただ貪欲に、激しいキスを繰り返す。
「は……ぁ……少し……、休憩を……」
ララクは、慣れないキスに息を荒げ、辛そうにしている。
「すまない……、夢中になってしまった。そういえば、さっきの話は誰から聞いたのだよ」
「さっきの話? 何でしたっけ……」
あれだけ濃厚なキスを繰り返せば、蕩けて思考がまとまらないのも仕方がない。
「だからその……キス以上のことをすると……」
「……ああ! 友達がそう言っていたんです。答えは真太郎さんに聞いてねって」
「やはり、そうか……」
絶対に面白がられているな。と、緑間は腹をたてつつ、きっかけに感謝しつつと、複雑な心境だ。
「あの……。それで、答えはなんでしょうか? ずっと気になっていたんです」
「なんだ……、そんなに欲しかったのか?」
緑間は含みのある言い方をし、ララクの服に手をかける。その行為が何を示すのか、流石のララクにも分かったようで、焦りだす。
「も、もしかして……その! あの、えっと……!」
どう伝えればいいのか、上手く言葉が出てこない。
「今頃出来ない……は、なしなのだよ」
「うっ……ぁ……は、い……」
その後、2人がどう混じり合ったのかは、誰も知らない……。